公園文化を語るみどり花コラム公園の達人公園管理運営「チャレンジ!」しました生きもの小話公園の本棚

花みどりミニ検定第186回 (2025/05/01~2025/05/31)

前回の解答と解説

第1問

問題
シューベルトの『魔王』はゲーテの詩による歌曲で、この『魔王』というドイツ語の原題は、ある樹木の王をあらわす言葉からできたものです。
この植物は何でしょうか?
  • 1シラカバ
  • 2スギ
  • 3ハンノキ
  • 4ヤナギ
問題画像1
正解3ハンノキ
解説
シューベルトの歌曲にはゲーテの詩によるものが多くあり、特に『魔王』や『野ばら』などはよく知られています。『魔王』の原題『Erlkonig』(ドイツ語)は、「ハンノキ Erle」と「王 Konig」が結びついた言葉です。その由来については諸説あり、定かではありませんが、北欧の伝説が起源だともいわれています。
ヨーロッパでハンノキが<妖精の木>と呼ばれ、特別視されているのは古代ケルトからの伝統で、長く穂のようにたれる雄花は妖精をかくしているといわれ、またハンノキを切ると切り口が黄褐色に変化するのは人体からの出血を思わせるので、切ることをひかえさせたといわれます。また、ハンノキは根に放線菌が寄生して根粒ができ、これが空気中の窒素を吸収するためにやせた土地でも元気に成長します。そのことから、河川の堤防などによく植えられています。

第2問

問題
ある野菜を切ってスタンプを作りました。このウサギの顔の輪郭を作っている野菜は何でしょうか?
  • 1ピーマン
  • 2レンコン
  • 3カボチャ
  • 4ジャガイモ
問題画像1
正解3カボチャ
解説
野菜を輪切りにするだけで、簡単にスタンプ遊びが楽しめます。問題のこのうさぎの絵は顔をカボチャ、耳をナス、目と鼻をミョウガで作りました。他にもオクラなどは品種によって断面の形が違ったり、レンコンも穴(通気孔)の形、並び方が違っておもしろいものです。
切り口に濃く溶いた絵の具を筆で塗ったり、脱脂綿やガーゼに絵の具を含ませたスタンプ台を作って色をつけたりして、カラフルな作品にしてみましょう。

第3問

問題
静岡県浜松市(旧引佐町)の山間部と、愛知県・三重県内のごく限られた土壌に育つ植物で、写真のような花が咲き、ラテン語で「神聖な」を意味する学名がついた種類は、次のどれでしょう。
  • 1ミツバツツジ
  • 2ジングウツツジ
  • 3ドウダンツツジ
  • 4オンツツジ
問題画像1
正解2ジングウツツジ
解説
この植物は、ミツバツツジやオンツツジと同じく、葉が枝に3枚ずつ輪生する、落葉性のツツジで、ドウダンツツジと同じように、蛇紋岩地帯といわれる強いアルカリ性の土壌に育ちます。環境省レッドデータ2015の分類では類(絶滅の危険が増大している種)です。浜松市北区の渋川で採集された個体が、新種のシブカワツツジとして発表され、後になって三重県内に自生するジングウツツジの変種と解釈されました。種の学名「神聖な(sanctumサンクトゥム)」と、和名は、伊勢神宮の内宮の周辺で見つかったことに由来します。自生のものの移植はむずかしいため、市販の苗木を植えるか、細かい種子を秋に採取して冷蔵庫の野菜室などに保管し、翌年2〜4月の間にミズゴケや赤土の細粒に蒔けば、家庭でも育てられます。
解説画像1

第4問

問題
写真は、イギリスにあるウィズレー王立園芸植物園のバラ園で、センチュウの駆除のため、バラを植える前にある草花を栽培しています。
この植物は何でしょうか?
  • 1ジョチュウギク
  • 2マリーゴールド
  • 3ハブソウ
  • 4エビスグサ
問題画像1
正解2マリーゴールド
解説
作物の栽培を続けると、土壌中にセンチュウ(ネマトーダ)がふえることがあり、根コブや根腐れなどの症状が多発し、ついに作物の栽培が困難となります。
センチュウ専用の薬剤で防除できますが、毒性が強く安易には使用できません。それに代わる方法として、薬剤ほどの威力はありませんが、センチュウを駆除・忌避する対抗植物が利用できます。マリーゴールドなどの一部の植物には、殺センチュウ効果やセンチュウ忌避効果があり輪作や間作に取り入れて一定の成果をあげています。
英国園芸界のリーダーであるウィズレー王立園芸植物園では、バラ園のセンチュウ駆除のためマリーゴールドを栽培しています。開花最盛期に土壌にすきこむといっそう効果があがります。
マリーゴールドの他の選択肢の植物もすべてセンチュウ駆除あるいは忌避の効果があります。ジョチュウギクは花の色が白です。ハブソウやエビスグサは、マメ科の草本で黄色い花が咲きますがあまり目立ちません。根から出るタンニンの効果でセンチュウが逃げていきます。これ以外に、キンレンカ、ダリア、イネ、ムギ、ハッカなどのハーブ類もある程度の効果があるようです。

第5問

問題
次の【 】には、それぞれある植物が入ります。正しい組み合わせはどれでしょうか?
立てば【 A 】、座れば【 B 】、歩く姿は【 C 】の花
  • 1A:シャクヤクB:ユリ C:ボタン
  • 2A:ユリ B:ボタン C:シャクヤク
  • 3A:ボタン B:シャクヤク C:ユリ
  • 4A:シャクヤク B:ボタン C:ユリ
問題画像1
正解4A:シャクヤク B:ボタン C:ユリ
解説
シャクヤク、ボタン、ユリはいずれも美しくあでやかな花で甲乙つけがたい花です。美しい女性は、どのような振る舞いをしてもあでやかであるということから、三つの美しい花になぞられてこのようなことわざが生まれました。シャクヤク、ボタンは、どちらもボタン科ボタン属の植物です。ボタン属は、かつてキンポウゲ科に分類されていましたが、現在はボタン属だけでボタン科に分類されています。また、ボタン属はボタン節とシャクヤク節の二つの群に分けられます。問題の「立てばシャクヤク、すわればボタン」にあるように、シャクヤク節のものは多年草で、茎がまっすぐ「立って」枝分かれせず冬には枯れるのに対し、ボタン節のものは木になり、枝分かれして横ばりの樹形を示し、これを「すわった」姿にたとえたのでしょう。

第6問

問題
エゴノキは野山に自生し、公園にも植えられる落葉樹です。そのエゴノキの枝に、写真のようなものを見つけましたが、これは何でしょうか?
  • 1
  • 2
  • 3虫こぶ
  • 4冬芽
問題画像1
正解3虫こぶ
解説
これはエゴノキにできる虫こぶで、ネコの足を思わせることから「エゴノネコアシ」と呼ばれます。エゴノキの腋芽にエゴノネコアシアブラムシが寄生することによって生じる、エゴノキ特有の虫こぶです。いくつかの房に分かれて、バナナの房のような形をしています。花が終わった後の初夏には、直径3〜4cmほどのかたまりになり、房を割ると中にアブラムシがすんでいます。7月ごろに房の先端に穴があき、羽の生えたアブラムシが外に出てイネ科のアシボソに移動し、は空き家になります。空き家になった後も虫こぶは枝に残り、翌春には黒くひからびて枝に残っていることもあります。
一般に虫こぶは、植物にアブラムシやタマバチなどが寄生することによって生じます。植物の種類により、また寄生する虫の種類によって、それぞれ独特の形や色をした虫こぶができます。
解説画像1

第7問

問題
マメ科の野草に、カラスノエンドウ、スズメノエンドウがあります。エンドウに似た植物ですが、前者の大きさは後者に比べだいぶ大形です。これらに似ていますが、両者の中間の大きさの植物もあります。
この植物名を下記の中から選び番号で答えてください。
  • 1イブキノエンドウ
  • 2クサフジ
  • 3カスマグサ
  • 4ナンテンハギ
問題画像1
正解3カスマグサ
解説
植物名には、よく鳥や動物の名前が冠されることがあります。大きさや形を示すために付けられていることが多いようです。カラスノエンドウ(烏野豌豆)は、エンドウ豆に似ている野草で、黒い実を付けることに由来します。スズメノエンドウ(雀野豌豆)は、カラスノエンドウに似ていますが小形なのでスズメが冠されています。花の大きさは、前者が10mm、後者が3くらいです。このふたつに似ていますがその中間の5の花を咲かせる植物がカスマグサで、カラスノエンドウとスズメノエンドウのあいだの間(ま)であるためこの名前がつきました。莢の中にはカラスノエンドウは数個、スズメノエンドウは2個、カスマグサには普通3個の種子が入っています。
選択肢の植物4種は、いずれも同じソラマメ属の植物ですが、カスマグサ以外は、カラスノエンドウと同じかより大形です。

第8問

問題
この植物はモクセイ科の落葉樹で、日本、朝鮮半島、中国、台湾に分布しており、初夏に白い花を咲かせます。ナンジャモンジャと呼ばれることもあります。
この植物は何でしょうか?
  • 1アセビ
  • 2ギンモクセイ
  • 3ヒトツバタゴ
  • 4マンサク
問題画像1
正解3ヒトツバタゴ
解説
ヒトツバタゴはモクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉高木で、本州中部、対馬、朝鮮半島、中国、台湾に分布しています。国内では限られた地域に自生しており、岐阜県土岐市の白山神社にある大木および岐阜県瑞浪市、恵那市、蛭川村、愛知県犬山市、長崎県上対馬町の自生地は国の天然記念物に指定されています。
名前の由来は、尾張(現愛知県)の本草学者、水谷豊文(1779〜1833)が江戸時代末に発見し、同じモクセイ科のトネリコの仲間で葉が単葉のことから一ツ葉(ヒトツバ)タゴと名づけたといわれています。タゴはトネリコの方言です。また、東京の明治神宮外苑に植えられていたものは古くから有名で、名前がわからないままナンジャモンジャと呼ばれていました。属名のキオナンツスはギリシャ語の雪と花にちなんだもので、その名とおり、初夏に白い花が咲いた様子は、木全体が雪でおおわれたようです。

第9問

問題
日本の仏像のほとんどは木彫です。使用される木材は彫りやすく、耐久性があって、大木が手近に得られるある樹木が最適な材料として多く用いられました。
この樹木は何でしょうか?
  • 1カツラ
  • 2モミ
  • 3ヒノキ
  • 4クス
問題画像1
正解3ヒノキ
解説
彫刻の材料はそれぞれの国や地域で手近に得られる最適な材が選ばれて造られています。古くはギリシアやローマ時代の大理石がその典型的な例で、中国やインドでも石像が多数みられます。日本では、彫刻の材料には木材が圧倒的に多く使われています。ヒノキは、彫刻の材料としての条件を満たしている良材で、北海道や東北地方の一部を除く日本全国に分布しています。古代から近世までの日本のすぐれた彫刻作品(仏像)にもヒノキが多く用いられています。平安時代に制作された平等院鳳凰堂阿弥陀如来像(定朝作)をはじめ、鎌倉時代の仏師(仏像作家)運慶や快慶の作品などもほとんどヒノキ材です。このほか、建築や工芸品にもヒノキが多く用いられていて、日本の文化を支えた樹木として評価されています。

第10問

問題
この白い花は、大木にもなる樹木のものです。下向きに咲く可憐な花は、咲き終わりに一つ一つの花がそのままの形で落ちてきます。大きな丸い葉が特徴です。
この植物の名前は何でしょう。
  • 1エゴノキ
  • 2ウワミズザクラ
  • 3ハクウンボク
  • 4イヌザクラ
問題画像1
正解3ハクウンボク
解説
房になって咲くのはハクウンボクで葉の大きさも違いますが、一つ一つの花の形はエゴノキにそっくりです。実を見ても、丸い実の周りを細かい星状毛が覆っていて、白っぽく見えます。これもエゴノキと同じです。

第11問

問題
カーネーションは、完全に花弁が開く前につぼみがしおれてしまうことがあり、これはカーネーションから発生したエチレンによる「眠り病」です。
エチレンが発生する原因として最も適切なものは何でしょうか?
  • 1乾燥
  • 2振動
  • 3急激な温度上昇
  • 4肥料切れ
正解3急激な温度上昇
解説
母の日にカーネーションの鉢植えをせっかく買ったのに、つぼみが半分以上咲かないままで終わってしまい、がっかりした経験がある人は少なくないかもしれません。
エチレンは植物ホルモンのひとつで、これが花の老化を早める原因になります。カーネーションはエチレンに反応しやすい傾向にあり、貯蔵中や流通過程で、急激に温度の高い条件下に置かれると、発生したエチレンにより、つぼみが開花しないまましおれてしまうことがあります。この現象は眠り病(スリーピング)として知られます。また、成熟した果実は大量のエチレンを発生するため(果実はエチレンの影響を受けて成熟する)、かつてリンゴなどの果物と花卉を同時に輸送していた時代には、花卉がその影響を受けたといいます。この現象を防ぐため、現在では農家が出荷の際に、エチレン吸収シートを切り花に巻き段ボールに入れたり、段ボールの内側にシートを貼り付けたりして輸送しています。水不足や極端な振動、肥料切れなど、輸送中にはさまざまなストレスが発生しますが、それによってつぼみが完全に開かなくなることはほどんどなく、エチレンによる影響が最も大きいと考えられています。

第12問

問題
この植物は、茎は細かく分枝し、多肉葉をつけ、5月〜6月に分枝した頂部に花をつけます。
この植物は何でしょうか?
  • 1キリンソウ
  • 2タマスダレ
  • 3フランスギク
  • 4マツバギク
問題画像1
正解4マツバギク
解説
マツバギクは南アフリカ原産の半耐寒性常緑草本で、茎は細かく分枝し、マツ葉状の多肉葉をつけ、分枝した頂部に一重の花をつけます。乾燥に強く、地表を緑葉で覆い、開花期は花が一面を埋めるのでグラウンドカバーとしても広く利用されています。花壇、鉢植えとして利用されますが、法面や石垣などに垂れ下がるように植栽されているのも多く見かけます。

第13問

問題
冬越しする形の一つに、葉を地表に沿って放射状に広げた「ロゼット」があります。冬の田畑でみつけたこのロゼットは、何の植物のロゼットでしょうか?
  • 1ヒメジョオン
  • 2ハルジオン
  • 3オオアレチノギク
  • 4ヒメムカシヨモギ
問題画像1
正解1ヒメジョオン
解説
選択肢は全てキク科ヒメムカシヨモギ属の植物です。いずれの植物も、夏の終わりから秋にタネが芽生え、冬は葉を地表に沿ってぺったりと広げたロゼットの形をとります。こうすることで寒風を避け、地表面にふりそそぐ陽光のぬくもりを利用して光合成を行い、少しずつ葉面積を広げて横方向に成長します。春になるとロゼットは一気に高さの成長に転じ、花茎を立てます。ハルジオンは春、それ以外は夏に花を咲かせます。
種類を問わず、一般にロゼット植物では、直径が大きなロゼットほど、多くの花をつけることができます。ハルジオン以外は越年草で、花をつけた株はすべてのエネルギーをタネを作ることに費やして、自らは枯れてしまいます。ハルジオンだけは地下茎で繁殖して多年草となります。ロゼットの形には、種類ごとに特徴があります。

第14問

問題
1630年代にオランダでチューリップの球根の値段が急上昇したのは有名な話です。それからちょうど100年後、同じオランダで再び異常な人気を呼んだ球根植物があります。
その植物は何でしょうか?
  • 1アイリス
  • 2シクラメン
  • 3スイセン
  • 4ヒヤシンス
正解4ヒヤシンス
解説
ヒアシンスは、4〜5枚の線形の葉の間から、春に直立した花茎を伸ばし、青紫、赤、白、黄などの総状花序をつけます。ギリシャ、シリア、小アジアに自生していたキジカクシ科(旧ユリ科)の球根植物、世界各地で栽培されています。
チューリップと同じように、16世紀にトルコからヨーロッパに入ってきました。当初はさほど愛好家の関心を呼ばなかったのですが、1684年にオランダのある園芸家が前例のないような美しい八重咲き品種の栽培に成功し、それ以降、大変な人気を集めるようになり、1720年ころにはチューリップをしのぐ話題の花となりました。1736年、くしくもチューリップの球根相場が狂乱してからちょうど100年後、ヒヤシンスの人気は異常な高まりを見せます。最も貴重な品種では、一つの球根が1600ギルダーで売れたという記緑さえあります。当時の労働者のなんと5〜6年分の年収にあたります。幸い、多くの破産者を出したチューリップをめぐるかつての不幸な経験に学んで、ヒアシンスの球根相場は、翌年の1737年には早くも沈静化に向かいました。
17〜18世紀のオランダでは、花瓶の花をモチーフにした静物画の領域でたくさんの優品が制作されます。描かれた花を一つ一つ観察すると、時の移り変わりとともにどんな花が流行していたか、推測がつきます。たとえば17世紀前半までは、バラとチューリップがとりわけ好まれていますが、17世紀も終わりに近づくにつれ、ヒヤシンスが控えめながらも花の静物画のそこここに姿を見せるようになります。

第15問

問題
ある植物の葉でつくった沖縄の水汲み用の道具です。
この植物は何でしょうか?
  • 1ココヤシ
  • 2ビロウ
  • 3ダイオウヤシ
  • 4シンノウヤシ
問題画像1
正解2ビロウ
解説
選択肢の植物はいずれもヤシ科の植物です。このうち、ビロウ以外のヤシの葉は羽根型で、そのままでは水を汲む容器には適しませんが、ビロウ、ワシントンヤシ、シュロなどは手のひら型なので、水を汲む器として利用されています。
沖縄ではビロウをクバと呼び、扇、敷物、容器、屋根材や祭具、玩具など神事から実用まで、現在でも人々の生活に密着し、親しまれています。
解説画像1

第16問

問題
バラ科の果樹で、6月ごろに橙黄色の果実が熟します。花の少ない冬に白い花が開花しますが、さほど目立ちません。花にはよい香りがあり、花弁は5枚です。
この植物は何でしょうか?
  • 1スモモ
  • 2ウメ
  • 3アンズ
  • 4ビワ
問題画像1
正解4ビワ
解説
ビワは冬に花を咲かせる常緑の果樹です。関東以西の暖地では庭木としても利用され、果実も収穫できます。ビワは古く中国から渡来したともいわれますが、大分県や山口県などでは野生状態のものが知られています。奈良時代(8世紀)には、果実が利用されていた記録があります。
選択肢はすべてバラ科の果樹です。花弁が5枚なのは、バラ科の多くの野生種の特徴のひとつです。バラ科の果樹には花の美しいものが多いのですが、ビワは花の直径が約1cmと小さいうえに、萼や花柄に茶褐色の綿毛が密生し、あまり見栄えがしません。スモモとアンズは3〜4月ごろに開花し、果実の収穫期は6〜7月ごろ。ウメは2〜3月に開花し、果実は6月ごろに収穫します。

第17問

問題
この植物はイカダカズラという和名がありますが、近縁の種も多いため、属の名前で呼ばれることも多いようです。
この属の名前は何でしょうか?
  • 1ハイビスカス
  • 2ブーゲンビレア
  • 3ファレノプシス
  • 4ドラセナ
問題画像1
正解2ブーゲンビレア
解説
ブーゲンビレアは南アメリカ原産の植物で、オシロイバナ科です。ブーゲンビレアの名前は、1767年にブラジルでこの花が採集されヨーロッパに伝わった際のフランス船の船長の名前Bougainvilleからきています。
一つ一つの花は筒状で、先が五つに分かれています(写真で白く見えているもの)。このような花が3個ずつ集まり、これを3枚の苞葉(苞)が取り囲んでいます。苞葉は明るい紫色などの目立つ色をしているので花びらのように見え、この全体が一つの花のようにも見えます。色鮮やかな苞葉は、原産地ではハチドリを引き寄せ、花粉を運んでもらうのに役立っています。ブーゲンビレア属には約20種の植物が含まれ、南アメリカに自生しています。イカダカズラやテリハイカダカズラ、ならびに近縁の種との雑種などで多数の園芸品種が作られています。

第18問

問題
アンデス山脈の海抜4,000mくらいに位置する低温草原地帯に生育している植物で、芽生えてから100年ぐらいたって、はじめて花を咲かせ、種子をつけると枯れてしまいます。
この植物は何でしょうか?
  • 1キミガヨラン
  • 2プーヤ・ライモンディ
  • 3ビンロウジュ
  • 4トックリヤシ
問題画像1
正解2プーヤ・ライモンディ
解説
プーヤ・ライモンディ(パイナップル科)は、南アメリカ・アンデス山脈の、標高3,800m、寒暖の差が激しいプーナと呼ばれる高地低温草原地帯の岩山に生息しています。
名前の由来は、19世紀中頃、イタリア人の博物学者アントニオ・ライモンディによって、プーナで発見されたことによります。この植物の寿命は、100年とも150年ともいわれています。成長しきると、直径2m以上の球状になっている葉の束の中央から、花茎が勢いよく伸び、3か月ぐらいで、4〜6mほどになり、花が咲き、種子をつけ、枯れていきます。

第19問

問題
北海道のアイヌ民族の伝説に登場する妖精コロポックルは小さく、雨が降るとある植物の一枚の葉の下に何人もが身を寄せ合って雨宿りをしたといわれています。
この植物は何でしょうか?
  • 1フキ
  • 2オオバコ
  • 3ヤツデ
  • 4イラクラ
問題画像1
正解1フキ
解説
コロポックルとは、アイヌ語で「フキの葉の下の人たち」という意味です。北海道のフキは大型のアキタブキが主で、葉の直径1m、葉柄の長さ1.5mにもなりますが、それにしてもその葉1枚の下に何人もが身を寄せ合ったというのは、コロポックルがいかに小さかったかの証拠でしょう。
昔アイヌの人々が北海道へ来たとき、すでにこのコロポックルたちが住んでいたといわれています。しかし、やがて離島へ去っていったのだそうです。この伝説のコロポックルこそ、日本の石器時代人であったとの説を、明治時代の人類学者坪井正五郎がとなえ論争を呼びました。

第20問

問題
この写真の葉は、火で炙ると黒い輪が浮び上がり、尖ったものでこすると黒い線が浮き上がります。そのため占いに用いられたり、葉書の語源になった植物と言われたりします。東海地方以西に分布し、寺社などに栽植され、その特徴から郵便局のシンボルツリーにもなっています。
この植物名を下記の中から選び、番号で答えてください。
  • 1トウネズミモチ
  • 2タラヨウ
  • 3サンゴジュ
  • 4クロガネモチ
問題画像1
正解2タラヨウ
解説
 正解は、「葉書の木」ともいわれるタラヨウです。
葉面を火で炙ると黒い環ができる現象を死環と言います。熱による細胞破壊で活性化された酸化酵素が、細胞内の色素源を酸化し発色すると考えられます。傷ついて文字が浮かび上がるのも同様の反応と考えられますが、死環が出る植物すべてで葉に文字が書けるわけでもありません。
紙のない時代に仏教の経典を書いた貝多羅樹(バイタラジュ=オオギヤシ)の葉になぞらえて多羅葉と呼ばれています。樹皮には、とりもち成分を含み、青黐(あおもち)といわれる「鳥もち」が作られ、材は緻密で狂いが少なく、ろくろ細工に適し、葉は茶の代用となります。
選択肢の植物すべてに死環がでますが、はっきり文字の書けるのはタラヨウと、クロガネモチで、郵便局のシンボルツリーは、タラヨウです。
解説画像1