公園文化を語るみどり花コラム公園の達人公園管理運営「チャレンジ!」しました生きもの小話公園の本棚

花みどりミニ検定第178回 (2024/09/01~2024/09/30)

前回の解答と解説

第1問

問題
この植物は、木琴やマリンバをたたく「ばち」(マレット)にそっくりな形をしています。この植物は何科の植物でしょうか?
  • 1キク科
  • 2バラ科
  • 3マメ科
  • 4ユリ科
問題画像1
正解1キク科
解説
実際、手に取ってみても、丈夫な茎、堅くて丸い花序(頭花)の部分はまるで「ばち」そのもので、楽器を鳴らせそうです。この植物はクラスペディアというキク科クラスペディア属の一年草で、草丈は60〜90cmです。和名で「ゴールドスティック」、英名で「ドラムスティック」ともいいます。もちろん、「ばち=スティック」からきた名前です。原産地はオーストラリア、ニュージーランドで、長い茎の先に、黄色の玉状の花序がついています。

第2問

問題
奈良時代から栽培されてきた秋を代表する果物で、乾燥させたものは、お菓子や料理の甘味づけとして利用されてきました。
この果物は何でしょうか?
  • 1カキ
  • 2イチジク
  • 3ブドウ
  • 4ビワ
正解1カキ
解説
カキはカキノキ科カキノキ属の落葉果樹で、古い書物によると中国では紀元前2世紀ごろには栽培されていたようです。
日本では『万葉集』には歌われていませんが、柿本人麻呂のような人名に使われているので、奈良時代までには渡来していたとみられます。平安時代の宮中儀式を記した『延喜式』には祭礼の菓子として干柿子などが記されています。干し柿は50%以上の糖分を含み非常に甘いので、砂糖などがなかった昔には重要な菓子の一つで、また料理の甘味料としても利用されてきました。果肉にはタンニンという成分が含まれ、これにより渋みを感じますが、乾燥や過熱により、成分が固まり、渋みを感じなくなります。
甘ガキは鎌倉時代に日本で出現したものと見られています。甘ガキには2つの系統があり、1つは完全甘ガキで、種子ができなくても甘く、2つ目は不完全甘ガキで、種子ができないと甘くなりません。しかし、甘ガキも完全甘ガキも未熟であれば渋く、寒い地方では完全に成熟しても甘くならないことがあります。

第3問

問題
花は地上部の葉の付け根に咲きますが、花後、地面に向かって子房柄を伸ばし、地中に潜って結実するという特徴があるこの植物は何でしょうか?
  • 1ラッカセイ
  • 2エンドウ
  • 3ダイズ
  • 4ソラマメ
問題画像1
正解1ラッカセイ
解説
ラッカセイは南アメリカ原産のマメ科の一年草です。元禄時代に中国を経て渡来したので、「南京豆」と呼ばれるようになったとの説もあります。しかし、栽培されるようになったのは明治時代になってからです。
花は黄色の蝶形花で、午後になるとしぼんでしまいます。花柄のように見えるのは子房柄といい、萼、花弁、おしべが融合して筒状になったものです。中には花柱が長く伸びためしべがあり、下のほうに子房があります。いったん受精すると子房が長く伸びて地中に潜り、地中で莢を形成して中にマメが2〜4個入ります。
ラッカセイはタンパク質と脂肪を含み、主要な作物として全世界で広く栽培され、ダイズに次ぐ生産量といわれます。日本では千葉県、茨城県などで多く栽培されています。もともと、この地方は痩せ土でほかの作物の生育はよくなかったのですが、マメ科の植物の根には、根粒菌の働きにより空気中の窒素を根に固定する性質があり、肥料の少ない時代に農地の地力を増す効果を得られたため、多く栽培されるようになったといわれています。

第4問

問題
メキシコ原産のキバナコスモスは、花色が黄色、橙黄色でしたが、日本人が改良した朱赤色の園芸品種が全米花卉審査会で1964年に金賞を獲得しました。
その品種名は何でしょうか?
  • 1ディアボロ
  • 2サンライズ
  • 3サンセット
  • 4オレンジ・ルフレス
正解3サンセット
解説
このキバナコスモス「サンセット」は、従来黄花と橙黄花しかなかった品種に、朱赤〜朱橙花を発現させた画期的な園芸品種でした。金賞受賞は1964年、市販発表は1966年でした。作出者は盛岡在住の橋本昌幸さんです。
「サンセット」はキバナコスモスの園芸品種「オレンジ・ルフレス」の選抜株に「フィエスタ」を交配し、その子孫を選抜しつづけたものといわれています。草丈1mほど、株まわり1.2mほどの大型の春播き一年草で、花は鮮やかな朱赤色、半八重咲きで、舌状弁は幅が広く丸みをもっています。花径は5cm内外です。

第5問

問題
全国の庭園作りに貢献した『築山庭造伝』に、カヤ、マキ、モッコクとともに庭の中心となる「正真木」に用いるとされている樹木は何でしょうか?
  • 1ヤナギ
  • 2マツ
  • 3カエデ
  • 4ツツジ
正解2マツ
解説
『築山庭造伝』は前編と後編に分かれており、前編は享保20年(1735)に北村援琴斎によって、後編は文政11年(1828)に離島軒秋里によってそれぞれ著されました。前編は、従来の庭作りの秘伝書を整理したのに加え、庭石や庭木の取り扱いについて実地で体験した技術を伝え、後編では、庭園の種類を築山、平庭、路地(露地)に分類し、さらにそれぞれ真、行、草に分類するなど経験の少ない人にも庭作りを理解しやすく記載されています。『築山庭造伝』は全国への庭園づくりの普及に貢献したとされています。
役木とその役どころについては後編に記述されています。
正真木は庭の主要景観となる場所に植裁される樹木で、全庭を統合するような樹形の優れた常緑の大木を選んで植裁します。
景養木は正真木が針葉樹であれば広葉樹を用いるという対比美を表す関係にあり、幹の形、枝振りなどをよく吟味して用います。
庭が南面しているとき東の方角に植裁されるのが寂然木で、よく茂る葉物の樹木で庭に物静かな趣をつけるように植栽される樹木です。樹種は葉の美しいマキ、イブキ、ツガ、モチなどを用います。
夕陽木は東側の寂然木に対して西側に植えられます。カエデ、サクラ、ウメなど紅葉が夕陽に映える樹木や花木を用います。
解説画像1

第6問

問題
サクラは、家具や建材など幅広い用途で使用されます。秋田県角館町で作られる【 】を利用した国指定の伝統工芸品はとても美しくみごとです。
【 】に当てはまるものは何でしょうか?
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4樹皮
正解4樹皮
解説
サクラの材は、加工性、着色性に優れているだけでなく、木目が緻密で光沢があり美しく、家具や建材、民芸品などにもよく利用されています。また、秋田県角館町の国指定の伝統工芸品「樺細工」はサクラの樹皮を利用しています。樺細工の樺は、木の樹皮を指します。使われるサクラの種類はオオヤマザクラ(ベニヤマザクラ)やカスミザクラです。
葉や花は、食材にも多く利用されています。オオシマザクラの葉はクマリンを含み香りがよく、塩漬けにしたものは桜餅を包む葉として利用されています。また、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、エドヒガンの樹皮は咳、腫れものなどの煎じ薬としても使われます。
解説画像1

第7問

問題
日本の伝統的な家屋は、その屋根がかつては萱で葺かれていたので、萱葺き家ともいわれており、この屋根材には多くの種類があります。
この屋根材として使用される代表的な植物は何科でしょうか?
  • 1イネ科
  • 2イグサ科
  • 3ヒノキ科
  • 4クワ科
問題画像1
正解1イネ科
解説
「萱」は、ススキ、オギ、チガヤ、アシなど、主として屋根を葺く材料となるイネ科植物の総称です。多くの場合はススキが使われますが、チガヤやカルカヤなど茎の直径が細いほど耐久性があり、屋根材として優れています。萱が生え、それを刈り取るところが萱場で、良い屋根材の調達のため、かつては丹精込めて、管理・栽培されていました。
他の選択肢も、様々な家屋の材料として使われます。イグサ科のイグサは畳やゴザに、ヒノキ科のヒノキやサワラの樹皮は屋根材(檜皮葺き)に、クワ科のコウゾは障子用の和紙に使われます。
解説画像1

第8問

問題
ダリアは、その植え付けの時期をとり、【 】球根類と呼ばれています。
【 】に入る言葉は何でしょうか?
  • 1春植え
  • 2夏植え
  • 3秋植え
  • 4冬植え
正解1春植え
解説
園芸的には、春に植えつける球根植物を「春植え球根類」、秋に植える球根植物を「秋植え球根類」として分け、また一部の種苗会社からはリコリスなどの「夏植え球根」というものも販売されています。「冬植え」と分類される球根はありません。
ダリアはメキシコ、グアテマラの熱帯高地原産のキク科球根(塊根)植物です。耐寒性が弱いため、冬の間、厳しい寒さにあうと球根が枯死します。一般的にダリアの栽培は、春に塊根を植えつけ、夏から秋に花を楽しみ、晩秋に塊根を掘り上げて、防寒、貯蔵して、越冬させます。そのため、春植え球根類と呼ばれています。ただし、暖地では塊根を掘り上げず、土寄せ程度でよく、テイオウダリア(コダチダリア)などは、植え放しで越冬させることができます。

第9問

問題
この花はよく知っている果物のものです。つる性のこの植物はなんでしょう。
  • 1ブドウ
  • 2アケビ
  • 3キウイフルーツ
  • 4メロン
問題画像1
正解3キウイフルーツ
解説
中国原産のキウイフルーツは、20世紀の初めにニュージーランドに移入され、その後の品種改良によって現在のような大きさで市場に出回るようになったとされています。ニュージーランドの飛べない鳥「キウイ」になぞらえた名前は有名ですが、もとはアジアの植物でした。マタタビ科の植物で、「シナサルナシ」という和名もあります。雌雄異株で、問題の写真は雌花です。受粉のためには雄株を植えますが、品種が異なっていても受粉するため、数株の雌株に対し、雄株は1本あれば良く、雄花を見る機会は多くないようです。

第10問

問題
この図版は、中国唐時代の銅鏡の背面(部分)です。ここには、ある植物の実と葉を交互に連ねた唐草文が見られます。
この植物は何でしょうか
  • 1ザクロ
  • 2イチゴ
  • 3ブドウ
  • 4スグリ
問題画像1
正解3ブドウ
解説
図版の銅鏡は愛媛県今治市大三島の大山祇神社に伝えられてきたもので、鏡の面径が26.8cmもある大形の白銅製の円鏡です。整然とめぐらされた葡萄唐草文に獅子、鳳凰、孔雀、鴛鴦(おしどり)などが配され、「禽獣葡萄鏡」と呼ばれています。鋳造技術も精巧で、鋳上りの美しい唐時代の鏡です。国宝に指定されています。
葡萄唐草はギリシャで生まれ、西アジア、インド、中央アジアを経て中国に伝わりました。とりわけ唐時代には愛好され、葡萄唐草と獅子を主要モチーフにした「海獣葡萄鏡」をはじめ、金工品や染織品に数多くの例がみられます。日本でも、奈良時代には唐の影響を受けて用いられ、正倉院の収蔵品や奈良の薬師寺金堂の薬師如来の台座にその例がみられます。

第11問

問題
庭先や道ばたでよく見られるカタバミの葉をもんで10円玉をこすると、ある現象がおきます。
この現象として最も適切なものはどれでしょうか?
  • 1ピカピカになる
  • 2黒くなる
  • 3青くなる
  • 4赤くなる
問題画像1
正解1ピカピカになる
解説
カタバミはカタバミ科の植物で、庭や道ばたに普通に見られる多年草です。
果実は熟すと自然にはじけて種子を飛ばします。全体にシュウ酸を含み、酸味が強いのでショッパ、スイスイ、スッパグサなどとも呼ばれ、この酸で、銅製品をこするとピカピカにすることができるのでコガネグサやカガミグサ、ラッパグサと呼ぶ地方も多いようです。この現象のほか、手足についたヤニなどの落ちにくい汚れには全草をもんでこするときれいになります。また、ホウセンカの花とカタバミをつき混ぜ、爪に押し当てておくと爪が赤く染まるので、子どものマニキュア遊びに使われます。タデ科のスイバやギシギシにもシュウ酸が多く含まれており、カタバミと似たような現象をおこします。
解説画像1

第12問

問題
街路樹によく使われている樹木で、樹形が乱れにくく、花の時期の美しさだけでなく、秋に赤い実をつけ、紅葉も美しいので人気があります。
この植物は何でしょうか?
  • 1モミジバフウ
  • 2プラタナス
  • 3ナナカマド
  • 4ハナミズキ
問題画像1問題画像2
正解4ハナミズキ
解説
ハナミズキの花弁(花びら)のようにみえるものは総苞片で、ほんとうの花は、その中心に20個程が集まってついています。両性花で、よく見ると小さな黄緑色の4枚の花弁に、雄しべ4個と雌しべ1個があります。苞の色は、淡紅色や紅色、白色のものがあります。果実は、長さ1cmほどで秋に赤く熟します。樹肌は、縦横に割れ目が入り、カキノキの樹肌に似ています。
ハナミズキは北アメリカ原産で、在来のヤマボウシに似ているので、最初のころは、アメリカヤマボウシと呼ばれていましたが、いつのまにかハナミズキの方が一般的になりました。
解説画像1

第13問

問題
ブナ科の落葉高木で、秋になると刺のあるイガの中に包まれた、2〜3個の堅果ができます。果樹としてよく栽培され、ご飯に混ぜて炊いたり、和菓子や洋菓子にも使われる、この植物は何でしょうか?
  • 1カシワ
  • 2クリ
  • 3コナラ
  • 4イチョウ
問題画像1
正解2クリ
解説
クリは、高さ15〜20mになり、針状の鋸歯のある葉が互生し、裏面は淡緑色で淡黄褐色の軟毛があるか無毛です。
北海道西南部から九州の山地に生える落葉高木で、山野に自生するシバグリは栽培グリの原生種です。品種は数が多く、1913年には約500品種が記録されています。花は6月〜7月に咲き、雄花穂は黄色で上向きにつきます。果実は、2〜3個の堅果が刺のあるイガに包まれています。このイガは、殻斗(総苞)が発育したものです。
クリの実は糖分が多く甘みがあり、栗ご飯や焼き栗のほか、ようかん、きんとんなどに使われています。天津甘栗の名称で市販されている焼き栗は、中国の華北から雲南省に分布するチュウゴクグリを用い、これを鍋の中で砂糖とともに炒り、熱がよく通ったときにごま油と砂糖を加えて炒り上げたものです。名称は、河北省の万里の長城周辺地域で生産されたものが天津市に集荷され、そこから輸出されたためにつけられたとされています。

第14問

問題
人家の近くによく見られる多年草で、全体に特有のにおいがあります。昔は薬草に用い、葉をあぶって化膿傷に貼ったりしました。今も葉を干し、健康茶として利用されています。
この植物は何でしょうか?
  • 1ドクダミ
  • 2クサイ
  • 3ヘクソカズラ
  • 4カタバミ
問題画像1
正解1ドクダミ
解説
ドクダミは日本の本州以南から東アジア、ヒマラヤ地方に分布するドクダミ科の多年草で、都会でもよく見られます。
独特のにおいのもとになる成分には細菌やカビの増殖を抑える作用があり、植物体を病原菌から守る働きをしています。ハート形の葉と、十字形をした白い花も特徴です。その4弁の白い花びらのように見えるのは総苞で、花びらではありません。本物の花はごく小さく、萼や花びらもなく、総苞の中心に円柱形に多数集まって咲きます。花は単為生殖をし、雌しべは受粉しないままに種子が熟します。多年草で、白く細長い地下茎を伸ばして、日陰でもよく広がります。ハート形の葉が美しいので、欧米ではグラウンドカバーとして公園などに植えられることもあり、また中国、東南アジアでは葉や地下茎を野菜として生食します。

第15問

問題
虫媒花の中には花を開く開放花とは別に、つぼみのままで開くことなく受粉する閉鎖花をつける種類があります。
次のうち閉鎖花をつける植物はどれでしょうか?
  • 1レンゲ
  • 2ナズナ
  • 3セイヨウタンポポ
  • 4スミレ
問題画像1
正解4スミレ
解説
虫媒花は美しい花びらと甘い蜜で昆虫を呼び寄せ、花粉を運ばせることによって受粉します。しかし、つぼみのまま開くことなく受粉する閉鎖花を咲かせる植物もあります。
スミレもその一つで、早春に美しい花を咲かせますが、初夏から秋にかけては閉鎖花をつけます。閉鎖花は昆虫を呼び寄せる必要がないので、緑色で目立ちません。親植物と同じ遺伝子の種子しか残せないという欠点はありますが、昆虫がいなくても確実に受粉して種子を残すことができる利点もあります。スミレは開放花と閉鎖花の両方をつけることで、遺伝的に多彩な子孫を残すことと、確実に子孫を残すことを両立させています。身近な植物では、シソ科のホトケノザやタデ科のミゾソバなども閉鎖花をつけます。

第16問

問題
この植物は、北海道から九州、および中国東北部、朝鮮半島に分布するラン科のクモキリソウ属の植物です。花が秋に鳴く虫を連想させるのでこの名がつきました。
この植物は何でしょうか?
  • 1コオロギラン
  • 2オオスズムシラン
  • 3スズムシソウ
  • 4マツムシソウ
問題画像1
正解3スズムシソウ
解説
クモキリソウ属のスズムシソウです。高さ20cmほどの花茎につく花の唇弁は、紫色を強く帯びた広倒卵形で反り返らず、色と形が雄のスズムシを連想させるのでこの名があります。コオロギランは、コオロギラン属の高さ10cmほどで、直径4mmほどのコオロギの羽に似た半透明の花をつけます。オオスズムシランは、オオスズムシラン属の高さ50cmほどで、唇弁の形がスズムシに似ることとスズムシソウより大きいので名づけられました。マツムシソウはラン科ではなく、マツムシソウ科マツムシソウ属の草本で、洋種系の園芸品種がスカビオーサの名前で花壇などに栽培されています。
解説画像1

第17問

問題
メキシコ原産のラン科の植物で、これから採れる香料は、お菓子に使われることで有名です。
この植物は何でしょうか?
  • 1カカオ
  • 2バニラ
  • 3クリ
  • 4シナモン
問題画像1
正解2バニラ
解説
選択肢の中でラン科の植物はバニラのみです。カカオはアオイ科(旧アオギリ科)、クリはブナ科、シナモンはクスノキ科です。香料づくりに用いられる部位は、果実です。バニラ独特の香りは、発酵した果実だけから発せられ、他の部位からは全く香りません。果実の加工方法として、黄ばんだ未熟果を、熱い湯に通して加熱します。その後2〜3週間キュアリング(果実を天日干しし、夜間は布に巻いて木箱に入れ保温する工程)を経て、バニラ特有の香り成分(バニリン)を放つようになります。
バニラは、マダガスカルやインドネシアなどの熱帯地方で栽培されていますが、メキシコが原産地で、先住民がチョコレートドリンクの香りづけに使っていました。バニラは料理などの香料としてだけでなく、香水や石鹸、シャンプー、リンスなどの香りづけにも用いられ、またストレス解消やヒステリー緩和効果もあるとされていますが、安価なバニラアイスクリームやバニラエッセンスには、化学合成されたバニリンが使われています。
解説画像1

第18問

問題
地被植物として植栽されているツル植物ですが、この植物は、ツルが下垂したり、吸着根によって壁を這って生育することもあります。
この植物は何でしょうか?
  • 1スイカズラ
  • 2カロライナジャスミン
  • 3ツルニチニチソウ
  • 4セイヨウキヅタ
問題画像1
正解4セイヨウキヅタ
解説
ツル植物には、巻蔓型(セイヨウキヅタ、スイカズラ、ムベ、カロライナジャスミン、ツキヌキニンドウ、フジなど)、吸着型(セイヨウキヅタ、テイカカズラ、ツリガネカズラ、ノウゼンカズラ、ナツヅタなど)、下垂型(セイヨウキヅタ、ツルニチニチソウなど)などの生育型がみられます。セイヨウキヅタなどのヘデラ類は、巻蔓型緑化、吸着型緑化、下垂型緑化のいずれも可能ですが、さらに広く地表面に植栽することで緻密に地表を被覆するため地被植物としての活用も可能です。半日陰で生育が旺盛となるため建築物の棟間空地や高架下などの日陰地の植栽にもよく用いられています

第19問

問題
見た目の異なる二種類の葉が写っていますが、よく見るとこれらは同じ個体の幹から出た枝であることがわかります。生垣にもよく使われている樹木ですが、この植物は何でしょうか?
  • 1カイヅカイブキ
  • 2キャラボク
  • 3コノテガシワ
  • 4スギ
問題画像1
正解1カイヅカイブキ
解説
カイヅカイブキはイブキ(ビャクシン)の園芸品種で生垣によく利用されています。この植物はしばしば鱗状の葉(鱗葉)とトゲ状の葉(針葉)を同時につけます。このうち、針葉は発芽当初に現れるために原始的な形状であるとされ、成長するとほとんどは鱗葉となりますが、時々針葉も現れます。このように一つの個体に形や大きさの異なる葉が生ずるものを異形葉といいます。カクレミノの無分裂の葉と分裂した葉、またツタに現れる単葉と三出掌状複葉なども異形葉の例です。
カイヅカイブキには枝先が日の当たる方向の反対側に曲がる性質(背日性)があるので、樹冠をよく見ると多くの枝先が同じ方向に傾いているのがわかります。また、イブキの仲間はナシの赤星病を媒介するので、ナシ園の近くには植えないほうがよいともいわれています。

第20問

問題
多肉質のとがった葉を持つハマミズナ科の多年草で、日本でもよく栽培されています。原産地の南アフリカの乾燥地では春の雨期に、丘陵地や平原を染めるように一斉に咲き出します。
この植物は何でしょうか?
  • 1ニチニチソウ
  • 2マツバギク
  • 3ディモルフォセカ
  • 4ポーチュラカ
問題画像1
正解2マツバギク
解説
選択肢の中で、南アフリカ原産のハマミズナ科植物(広義のツルナ科)はマツバギクのみです。自生地では、日当たりのよい平原やゆるやかな斜面にしばしば群生します。場所によっては開花時になると、見渡す限りの大地に紫紅色の霞がかかったように見えます。
マツバギクは茎や葉が多肉質で、乾燥に強いのが特徴です。地植えにするとたいてい春から初夏にかけて咲き、真夏の間休んで秋から晩秋にかけて再び咲きます。乾燥した場所のグラウンドカバーに向き、石垣の上部などに植えると垂れ下がるように伸びて咲き誇り、みごとです。近縁種との交雑などによって生まれたオレンジや黄色、白色などの花をつける園芸品種もマツバギクの名で流通していますが、強健さでは原種に劣るようです。
他の選択肢、ニチニチソウはマダガスカル原産のキョウチクトウ科、ディモルフォセカは南アフリカ原産のキク科、ポーチュラカは原産地不明のスベリヒユ科植物です。なお、ポーチュラカの葉も多肉質ですが、葉はとがっていません。