公園文化を語るみどり花コラム公園の達人公園管理運営「チャレンジ!」しました生きもの小話公園の本棚

花みどりミニ検定第175回 (2024/06/01~2024/06/30)

前回の解答と解説

第1問

問題
セイタカアワダチソウは、河原や空き地に群生している外来植物です。
この植物の原産地はどこでしょうか?
  • 1オーストラリア
  • 2南アフリカ
  • 3北アメリカ
  • 4地中海沿岸
問題画像1
正解3北アメリカ
解説
空き地でも河原でも明るい環境であれば、いたるところに見られるセイタカアワダチソウは北アメリカ原産で、成長が早く、地下茎を伸ばして空間を占有する能力がきわめて大きい植物です。しかも大量に生産される果実は小さく、冠毛を持つため分散力がきわめて大きいのが特徴です。また、種子は休眠性があり、土壌中にも蓄積します。そのため急速に分布を拡大することができ、セイタカアワダチソウが群生する場所からは、本来の植生がその姿を消していきます。
侵入したセイタカアワダチソウを放置しておくと、大量の種子を生産し、シードソースがねずみ算的に拡大します。生育に適した撹乱地では、短期間に広大な面積がセイタカアワダチソウに占有されることになりかねません。これを防ぐためには、制御可能な侵入の初期に抜き取って、広がらないようにすることが大切です。

第2問

問題
水辺に咲く写真の植物は江戸時代の園芸ブームにたくさんの品種が作られました。アヤメやカキツバタとよく似ていています。この植物は何でしょう?
  • 1オモト
  • 2キク
  • 3アサガオ
  • 4ハナショウブ
問題画像1
正解4ハナショウブ
解説
ハナショウブは、江戸時代に江戸、伊勢、肥後で盛んに栽培され、白、紫、ぼかしなどの様々な品種が作られました。アヤメやカキツバタとよく似ていますが、ハナショウブには、花弁の中央に黄色い筋があることから見分けられます。

第3問

問題
シソ科サルビア属のハーブで、イギリスには「長生きしたい者は5月にこの草を食べよ」ということわざがあるほど、薬効に富む植物です。葉には樟脳にも似た芳香があります。
この植物は何でしょうか?
  • 1アロエ
  • 2ローリエ
  • 3セージ
  • 4パセリ
問題画像1
正解3セージ
解説
セージはシソ科サルビア属の多年草で、複数の種や品種の総称です。代表的なものはコモンセージと呼ばれる種類で、薬用や料理によく使われています。属名のサルビアが、ラテン語のSalveo「私は健康である」またはSadevere「治療する、救い出す」に由来するように、薬効に富む有名な薬草で、脳や筋肉の働きを高める長命の薬とされてきました。古いアラビアの諺にも「庭にセージを植えている者がどうして死ぬことができようか」とあるほどです。
セージのお茶は17世紀に紅茶が伝わる前からイギリスをはじめヨーロッパ各国で広く飲まれていた健康飲料でした。オランダとの貿易が始まった中国ではセージティーが好まれ、乾燥したセージの葉がその3倍量の紅茶と取り引きされました。歯磨き粉ができる前はセージの葉をかんだり、こすったりして歯を清めたこともありました。料理ではソーセージや豚肉料理に使われ、またガチョウの丸焼きの詰め物(スタッフィング)の材料としての使用法は中世にまで遡ります。ピーターラビットの絵本のひとつ『あひるのジマイマのおはなし』にもこの詰め物のことが「セージ&オニオンスタッフィング」として登場します。

第4問

問題
写真は梅雨のころに咲く落葉樹の花です。鋭い刺のある殻につつまれた果実は古くから食用にされていました。
この植物は何でしょうか?
  • 1クヌギ
  • 2クリ
  • 3コナラ
  • 4スダジイ
問題画像1
正解2クリ
解説
クリはブナ科の落葉高木で、約10種が北半球の温帯域に広く分布しています。
日本のクリ栽培は、北海道中部から九州の南端までの山野に自生するシバグリを中心に改良され、奈良・平安時代に大果が現れました。多くの品種があり、1913年には約500品種が記録されています。また、産地としては丹波地方(京都府)が古くから知られています。
雌雄異花で虫媒花。花序は長さ10〜15cmで写真のように白い雄花がよく目立ち、雌花は緑色で花序の基部に固まって咲きます。雌花は長い刺のある殻斗につつまれ、発育してイガとなります。開花は6月ごろ、果実は9〜10月ごろに成熟します。
クリは縄文時代の遺跡からも出土しており、古くから重要な食料とされてきました。正月の縁起物として年神様の供物や歯固めに用いられ、戦国時代には勝利の縁起物としても欠かせないものとされました。また、山村では救荒食物とされ、クリの木の伐採を禁止してきたところも多くあります。
解説画像1

第5問

問題
モーツァルトは、ゲーテの詩により、ある花のはかない運命を歌った歌曲を書いています。
可憐な姿をもつこの花は、次のうちどれでしょうか?
  • 1ヒナゲシ
  • 2スミレ
  • 3レンゲソウ
  • 4スズラン
正解2スミレ
解説
モーツァルトの歌曲の中でもとりわけ名高い「すみれ」は、オペラ『フィガロの結婚』を作曲する少し前の1785年の作。モーツァルトが、ゲーテの詩につけた唯一の歌曲です。詩の内容は、草原に咲くこの花が、羊飼いの少女に気づいてもらうことを願いつつもふみつけられてしまったが、「あの人の足もとで死ねるんだから!」と喜んだ、というものです。三節からなる詩の節ごとに違ったメロディがつけられており、羊飼いの娘にあわい恋心をいだくスミレの感情が心に伝わってきます。なお、モーツァルトはゲーテの詩の最後に、「かわいそうなすみれよ! それは愛らしいすみれだった。」と付け加えました。

第6問

問題
若木の時から枝を誘引して鳥や動物や人気の高いマスコットなどを造形する木の創作物をトピアリーと呼びますが、これに最もよく使われる樹種はどれでしょうか?
  • 1オリーブ
  • 2セイヨウアジサイ
  • 3キンモクセイ
  • 4ボックスウッド
問題画像1
正解4ボックスウッド
解説
ボックスウッド(セイヨウツゲ)が、欧米ではよく用いられています。特性は、刈り込みに耐え、葉のつき方が緻密で常緑であることです。トピアリーとは、ラテン語の「トピアリウス:造園師」に由来する語です。ローマ時代に始まった技法です。
アメリカとカナダの植物栽培辞書であるベイリー著『Hortus Third』には以下のようにあります。
「低木を刈り込んで幾何学的な形に整えることで、しばしばお遊び的に動物の形に刈り込まれる。元来、旧世界の様式庭園で発達したものだが、時にアメリカの園芸にも取り入れられている。トピアリーを成功させるには、よいデザインに加え巧妙な刈り込み技術が必要で、さらに庭園レイアウトとの兼ね合いも重要である。トピアリーを主体に庭園がつくられることもある。よく使われる植物にはツゲ科、イトスギ属、エウゲニア属、ビャクシン属、イボタノキ属、イチイ属、ツガ属がある。」

第7問

問題
花壇や花畑に植えられなじみ深い植物ですが、原産地のヨーロッパでは、古代から止血効果のある草として知られており、それにちなんだ学名も付けられています。
この植物は何でしょうか?
  • 1ローズマリー 
  • 2セイヨウカノコソウ 
  • 3セイヨウノコギリソウ 
  • 4タラゴン
問題画像1
正解3セイヨウノコギリソウ 
解説
セイヨウノコギリソウは、ヤロウの名前でも知られ、古来から止血作用や殺菌作用のある草として役立ってきたといわれます。
ギリシャ神話の英雄であるアキレウスは、師のケイロンからこの植物に傷を治す効能があることを教えられ、戦場で傷ついたたくさんの兵士を救ったといわれます。このため、ノコギリソウ属の学名はアキレア(Achillea)になっているのです。
ハーブとして効能の多い植物ですが、花もまた美しく、ピンクや赤花の品種が花壇などに植えられるようになっています。丈夫で、いったん植えれば長く楽しむことができますが、その丈夫さゆえに帰化植物としても広範囲に野生化していることも事実なので、自然地域などでの大規模緑化に用いて在来種に影響を及ぼすことがないよう注意が必要です。

第8問

問題
長崎出島の蘭医シーボルトは、日本の植物をヨーロッパに紹介した人として知られていますが、彼が『日本植物誌』(Flora Japonica)で紹介した、図版の植物は何でしょうか?
  • 1ツバキ
  • 2ウツギ
  • 3アジサイ
  • 4オオデマリ
問題画像1
正解3アジサイ
解説
南ドイツ出身のシーボルト(1796〜1866)は、1823年、長崎の出島にあったオランダ商館の医師となるため、来日しました。自然誌研究の専門家でもあった彼は、滞在中に積極的に日本の植物を研究し、帰国後、それを『日本植物誌』という本にまとめました。そのシーボルトがとりわけ愛した花がアジサイでした。出島の花壇に植えて楽しんだばかりでなく、お気に入りの日本女性、楠本滝の名をとってヒドランゲア・オタクサHydrangea Otaksaと名づけたほどです。なお、この学名は、残念ながら現在では使われることはありません。
シーボルトが用いたさし絵は、ドイツの複数の画家の手によるものですが、近年の研究で、その下絵の多くが日本人絵師、川原慶賀らにより描かれていたことが判明しました。彼らは、シーボルトが連れてきた西洋画家に学んだり、当時の日本に外国から入ってきた複数の西洋植物図譜を通じて写実的な西洋画法を身につけ、シーボルトの依頼に応えたのでしょう。シーボルトの『日本植物誌』は、植物学と美術とが、たがいに手をたずさえていた時期に、東西文化交流のなかから生まれたものです。その下絵の多くが日本人絵師、川原慶賀らにより描かれていたことが判明していますが、さし絵のなかでもひときわ美しいアジサイの下絵をだれが描いたのかは、残念ながら、いまのところ不明です。

第9問

問題
樹高が高くなることで知られる北米産の樹木で、葉は常緑で、樹皮は赤褐色で厚く、海綿状のやわらかい繊維質で大きく深く裂けます。英名でレッドウッドとも呼ばれています。
この植物は何でしょうか?
  • 1イヌガヤ
  • 2メタセコイア
  • 3セコイアメスギ
  • 4ラクウショウ
問題画像1
正解3セコイアメスギ
解説
大きな樹木は、人を引きつける魅力を持っています。セコイアは中国語で「世界爺」とも表現され、大きな樹木の代表とされています。その中でセコイアメスギは、樹高の高くなる樹木として知られています。また、アメリカのセコイア国立公園に多く生育しているセコイアオスギは樹高も高いのですが、幹が太くなる樹木として知られています。なお、それぞれの属名にしたがうと、セコイアメスギはセコイア、セコイアオスギはセコイアデンドロンと呼んで区別されます。
他の選択肢の特徴は、メタセコイヤとラクウショウの葉は羽状につきますが、落葉性で樹皮はやや赤味を帯びた灰褐色であまり厚くありません。

第10問

問題
写真の植物は春の七草に数えられるもののひとつです。
この植物は何でしょうか?
  • 1セリ
  • 2ナズナ
  • 3ゴギョウ
  • 4ハコベラ
問題画像1
正解1セリ
解説
春の七草の植物は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロです。このうち、現在の標準和名が使われているものはセリとナズナの2つで、ハコベラのハコベを入れても3つです。その他のゴギョウはハハコグサ、ホトケノザはコオニタビラコ、スズナはカブ、スズシロはダイコンとされています。
セリは『万葉集』の時代(770年ころ)からセリと呼ばれ、摘み草として食べられていました。現在、一部では水田で栽培され、それが出荷されていますが、野菜としては少数派です。
春の七草としてセリから始まる言い方がされるのは『連歌至宝抄』(1585年)が古く、そこには「せり、なづな、ごぎょう、たびらこ、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これも(こら、これぞの異本あり)七草」と歌われ「はこべら」がなく、「たびらこ」と「ほとけのざ」が併記されています。この「ほとけのざ」がシソ科のホトケノザではなく、キク科のコオニタビラコであると発表したのは牧野富太郎ですが、その場合、もう一方の「たびらこ」が何であったかについては諸説があり、明確にはされていないようです。

第11問

問題
この植物は山菜で、食用とするのは先が丸く巻き込んだ若芽の部分です。
この植物は何でしょうか?
  • 1ゼンマイ
  • 2クサソテツ
  • 3オオバギボウシ
  • 4ワラビ
問題画像1
正解1ゼンマイ
解説
シダ類ゼンマイ科の多年草であるゼンマイは、ゼンメ、デンマイ、ゼンメイ、ゼンゴとも呼ばれる山菜です。食用とされる若芽は、ぜんまい状に巻いて、白い綿毛におおわれます。独特の歯切れのよさとまろやかな風味は、山菜の王様いうにふさわしいものです。灰汁でゆでて水にさらし、手で何度ももみながら乾燥させた干しゼンマイは、昔から保存食、救荒食品として利用されてきました。
ゼンマイにはビタミンB1分解酵素であるアノイリナーゼが含まれているので、多食しないようにしましょう。若芽をおおう綿毛は、織り布として用いられます。この布をゼンマイ織といい、青森、秋田、山形などが産地です。

第12問

問題
林にある裸子植物の一種がたくさん生えています。この植物の仲間は、世界の温暖な地域に見られますが、日本での分布は、それらの北限に近いものです。どのあたりが最も北の自生地でしょうか?
  • 1宮崎県
  • 2千葉県
  • 3静岡県
  • 4和歌山県
問題画像1問題画像2
正解1宮崎県
解説
ソテツは、ヤシのように幹の先端に放射状に展開する、常緑で硬い濃緑色の葉が特徴です。ソテツ類は、世界の熱帯から亜熱帯に分布しており、日本にはソテツ1種のみが自生しています。多少の霜には耐えるので、関東地方でも屋外に植えられていることがありますが、種子の中に子葉(胚)はできません。雌雄異株で、雌株は幹の先端に種子をつける特別の葉を生じ、赤い実をつけます。雄は巨大な柱状の花粉をつける鱗片状で黄白色の葉の集まりを、やはり幹の先端に作ります。
日本のソテツは、世界のソテツ類の分布の北限にあたります。国内での自生北限は宮崎県串間市の都井岬とされ、現地では国指定の天然記念物となっています。問題文の写真は、奄美地方で写されたもので、海に面した隆起珊瑚礁のごつごつした岩の上に群生しています。
ソテツは裸子植物ですから、赤い実はそれ全体が種子です。サイカシンという有毒物質を含むので食用には向きません。しかし、実にはデンプンも多く含まれるため、かつて飢饉の際には十分に水にさらして発酵、乾燥するなどの処理を行って食料にしてしのいだという伝承もあります。
解説画像1解説画像2

第13問

問題
落語の噺で、これを食べた客が勘定を払う段に、小銭を1文ずつ数えながら手渡し、途中で「何どきだい?」とたずねて「へえ、九つ」と答えさせ、1文ごまかすという話がありますが、このとき客が食べたものは何でしょうか?
  • 1ソバ
  • 2ムギ
  • 3アワ
  • 4マメ
問題画像1
正解1ソバ
解説
この落語は「時そば」で、昔は「夜鷹そば」などという流しのそば屋がおり、ここを舞台にした落語では、食べた客が主人を手玉に取って勘定を1文得します。これを見ていた少しばかりぽおっとした男が翌日にまねをしてみたのですが、まだ早い時間だったために3文損をするという、間のぬけた話で落ちになります。ここに登場する二人が、勘定を払う途中で主人に答えさせた時刻は最初の男が「九つ」、あとの男が「四つ」ですが、この噺の時代の時刻の呼び方と現在の時刻を理解すると、さらに面白みが増すでしょう。
ソバは中央アジアが原産で日本をはじめロシア、中国、カナダなどで広く栽培されています。冷涼な気候に適し、夏ソバ、秋ソバとあり、生育期間が2〜3か月と短く、やせた土壌や干ばつなどの気象条件の中でも収穫が可能です。このため、気象障害などで他の作物が被害を受けたときの救荒作物として活用されることがありました。

第14問

問題
この植物は、ジャイアントパンダの主食になっています。
この植物は何でしょうか?
  • 1サトイモ
  • 2タケ
  • 3アシ
  • 4イネ
問題画像1
正解2タケ
解説
ジャイアントパンダは食肉目の動物ですが、主食は植物であるタケです。野生での調査では食物の99%がタケといわれており、25種類のタケを食べることが知られています。タケの消化効率はよくないので、大量に食べ、1日に10kgを超える糞をすることもあります。食べたのちに10時間くらいで糞は排泄され、タケの葉、茎それにサトウキビやニンジンなど食べたものが何であるかがわかる姿で出てきます。
上野動物園では、安定して入手できるモウソウチクを主食として食べさせています。葉だけでなく春先に手に入る柔らかい茎や竹の子は大好物で、真っ先に食べてしまいます。タケを食べるときは前足でつかんで持って食べます。それ以外にサトウキビ、ニンジン、サツマイモ、リンゴ、ナツメ、それにミルクでご飯を炊いたミルク粥も与えています。

第15問

問題
マメ科の野菜類の多くは、花が咲き終わったのちに、さやを下に向けて大きくなりますが、さやを空に向けて直立することから、その名前が付けられた植物があります。
この植物は何でしょうか?
  • 1ソラマメ
  • 2ササゲ
  • 3ダイズ
  • 4エンドウ
正解1ソラマメ
解説
さや(豆果)が空に向かって直立することから、ソラマメと名づけられたというのは、まことに当をえた名前です。ソラマメは古代エジプト時代に、すでに栽培されていたといわれ、エンドウとともにマメのなかでは栽培の歴史が古いといわれます。わが国には天平時代にインドの僧が中国を経て伝えたといわれますが、文献では江戸時代、『多識論』(1631)に初めてその名が出ており、貝原益軒の『大和本草』(1708)に「其の実空に向かふ故に名づく」とあり、和名はこれに由来するといわれます。
ソラマメの草丈は数10〜100cmくらいで、茎は四角形、よく分枝します。葉腋に花をつけ、花色は白色、赤紫色など10品種ほど知られています。花後肉厚のさやが肥大しますが、品種によってさやの皮は緑色、褐色、赤紫色、黒色などがあり、直立して熟します。生育適温は15〜20℃、温暖な地方で秋まきして5〜6月に収穫できます。耐寒力もあるので0℃以下にも耐えますが、冬前に茎が伸びすぎると寒害を受けるので、寒さが厳しい地方では、春まきします。

第16問

問題
この植物は熟していない状態でも食用とされ、エダマメと呼ばれます。熟した豆からは、豆腐や味噌、醤油など日本人の生活にかかせない食品がつくられます。
この植物は何でしょうか?
  • 1アズキ
  • 2ソラマメ
  • 3ダイズ
  • 4エンドウ
正解3ダイズ
解説
ダイズは古くから日本人の食生活に定着してきました。未熟ダイズをエダマメと呼び、ビールのおつまみのほか、枝豆ご飯、すりおろしてずんだあえ(じんだあえ)などで楽しめます。良質のタンパク質、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンCなど栄養価に優れています。味噌、醤油、豆腐、油揚げ、納豆、食用油など、およそ日本人の食生活にかかせない食品の原料であるにもかかわらず、ダイズの国内での生産量は少なく、自給率は6%(平成20年度現在)です。エダマメは、稲作の田のあぜに植え未熟豆のうちに収穫するという方法で作られてきたもので、大豆生産の本流とは少し離れた、稲作と結びついた日本の農村文化の産物でしょう。
日本人にとって大事な農産物であるだけでなく、世界の主要農産物ですから、各国の種苗会社は収量がよく、加工性に優れた品種改良にしのぎをけずっており、そのために遺伝子組み替え種が早くから出回っています。豆腐、醤油や食用油など食品の表示問題で大豆が議論されたのは記憶に新しいところです。

第17問

問題
色をあらわすときに用いられますが、果実で色をあらわしている植物はどれでしょうか?
  • 1フジ
  • 2スミレ
  • 3ダイダイ
  • 4ヤマブキ
正解3ダイダイ
解説
植物と色とを結びつけることは日本では古くから行われ、微妙な色合を表現しています。
花の色は最も明快でモモ、スミレ、バラ、ヤマブキ、フジ、サクラなどがあります。果実や種子ではダイダイをはじめクリ、ブドウ、コムギ、アズキなど熟した状態の色をあらわしています。古くは浅葱(薄い水色)、萌葱(鮮やかな緑)というようにネギなど植物の生長過程や部分の色を指す場合もあります。このほか染料として用いられる植物で、アイ(茎や葉)、ムラサキ(根)、スオウ(種子を含むサヤ)などは染められた色の色名となっています。ダイダイ(橙)はミカン科で、ナツミカンなどと同種とされ、冬に赤みがかった黄色い果実をつけます。この果実の色が色名となっています。正月の飾りに用いられたり、果実をしぼった汁は酢の代わりに使われます。

第18問

問題
1957年に「国蝶」に選定されたオオムラサキは初夏から夏にかけて雑木林をすみかにし、樹液を吸いに集まります。
このオオムラサキの幼虫の食草となる植物は何でしょうか?
  • 1ヤナギ
  • 2エノキ
  • 3アワブキ
  • 4ハルニレ
問題画像1
正解2エノキ
解説
オオムラサキは日本産タテハチョウ科では最大の種で、翅をひろげると約10cm。東アジアに分布し、日本では北海道南西部から九州までに見られます。幼虫は食草のエノキの落葉の下で越冬し、春とともに枝に登り、新緑の葉を食べます。蛹は頭を下にしてエノキの枝にぶらさがっていて、エノキの葉に酷似したカムフラージュをします。初夏に成虫になり、オスは翅の中央部分が紫色にひかります。メスは茶褐色で体はオスよりやや大きい。成虫の餌はクヌギ、コナラの樹液です。
1956年、切手のデザインになり人気をたかめました。翌年、日本昆虫学会總会で国蝶の選定が行われ、日本に広く分布し、美しく、知名度が高いということから、第1位に選ばれました。ちなみに第2位はアゲハでした。
エノキはアサ科(旧ニレ科)の落葉樹で、庭園樹や街路樹としても利用されます。江戸時代の一里塚には、よくこの樹木が植えられました。

第19問

問題
シェークスピアの『夏の夜の夢』では、ある植物の生い茂る堤が妖精の女王の寝所として描かれています。すがすがしい香りがあり、肉料理をはじめとした料理に広く使われています。
この植物は何でしょうか?
  • 1スミレ
  • 2エリカ
  • 3シバザクラ
  • 4タイム
問題画像1
正解4タイム
解説
タイムは地中海沿岸地方原産のシソ科の常緑小低木です。品種が多く、最も代表的なコモンタイムの他にレモンタイム、オレンジタイム、野生種のワイルドタイムなどがあります。日本自生のイブキジャコウソウもタイムの仲間です。
古くから妖精の好む草として、タイムが一面に香りをたてる場所は妖精の遊び場と信じられていました。シェークスピアは小道具のように植物を作品に生かしていますが、その昔からの伝説を使い、タイムの茂る堤を妖精の女王タイターニアの寝所として著わしたのです。
タイムは、チモールという殺菌力のある精油をその葉に含み、古代ローマではチーズや酒の風味付けに使っていたという歴史があります。また中世では「あなたはタイムの香りがする」という表現が容姿のよい人に対する褒め言葉であったように気品、優雅さの象徴でありました。その香り、風味とともに臭みを消し、消化を助け、食欲を増進する効能から料理に幅広く使われています。

第20問

問題
次の植物のうち、おもにマルハナバチの仲間によって花粉が運ばれ受粉する植物はどれでしょうか? 
  • 1ツリフネソウ
  • 2セイタカアワダチソウ
  • 3ヤブツバキ
  • 4ヤツデ
正解1ツリフネソウ
解説
ツリフネソウはツリフネソウ科の一年草で、北海道から九州の、谷筋など湿った半日陰地に生えます。赤紫色の花は花柄の先に帆かけ船を釣り下げたように咲くので、釣舟草の名があります。花の後半部はじょうご状に細くなり、末端は渦巻状になっています。この末端部分に蜜があります。このため、花の正面から頭を突っ込んで蜜を吸えるのは、長い口をもったマルハナバチ類だけで、このときハチの背中が雄しべや雌しべにふれるのです。
花の後半部はじょうご状に細くなり、末端は渦巻状になっています。この末端部分に蜜があり、花の正面から蜜を吸えるのは、長い口をもったマルハナバチ類だけで、このときハチの背中が雄しべや雌しべにふれます。雄しべは互いにくっついて筒状になり、雌しべの上にかぶさっていますが、花粉を出した後、帽子のようにはずれ、雌しべがあらわれます。そこで、ハチが訪れることで、花粉が雌しべについて受粉します。
解説画像1