公園文化を語るみどり花コラム公園の達人公園管理運営「チャレンジ!」しました生きもの小話公園の本棚

花みどりミニ検定第168回 (2023/11/01~2023/11/30)

前回の解答と解説

第1問

問題
写真は、ある落葉高木の冬の姿が、地面に影としてたものです。万歳をしたように広がる枝ぶりが特徴的で、日本の山野に自生しますが、街路にもよく植えられています。
この植物は何でしょうか?
  • 1イチョウ
  • 2ポプラ
  • 3ケヤキ
  • 4シダレヤナギ
問題画像1
正解3ケヤキ
解説
ケヤキはニレ科の落葉高木で、高さ30mに達するものもあります。本州以南から九州、さらに朝鮮半島、中国、台湾にも分布し、比較的富んだ土壌の水分の多い環境を好みます。葉は細長い卵形で長さ3〜10cm、周囲に鋸歯があります。花は4〜5月ごろに咲きます。果実は小さくて堅いのですが、ハトなどの鳥はよく食べます。樹形に特徴があり、両手を広げて万歳するような姿は、ケヤキの漢字である「欅」の右側のつくり(物をさし上げるという意味)にも表現されています。
樹形が美しいために、都市部でもよく植栽される一方で、盆栽としても親しまれています。さらに、ケヤキの材は木目や色が美しいうえに、加工もしやすいので、和太鼓の胴などの工芸品や、椀などの日用品に加工されます。また、耐久性が高いので、建築材としても用いられています。
解説画像1

第2問

問題
春の七草の「スズナ」とは、現在でいうどの植物でしょうか?
  • 1ダイコン
  • 2カブ
  • 3ナバナ
  • 4コマツナ
正解2カブ
解説
正月7日に7種の草を入れてかゆを食べて、健康を祈念した行事がいつ頃から始まったものかは定かではありません。使われた草も時代や場所によって必ずしも一定ではなかったようですが、現代はセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロというのが一般的です。ゴギョウはハハコグサ、ハコベラはハコベ、スズナはカブ、スズシロはダイコンのことです。ホトケノザは諸説ありますが、現代はタビラコ説が一般的です。
カブの地下部の形は長細い小型のダイコンのような品種もありますが、多くは根の先がとがった扁平な球状をしており、これを鈴の形に見たてて鈴菜と呼んだのです。神社での参拝のときに鳴らす鈴からもわかるように、鈴は神様を呼ぶ大切な用具でもあり、かつては儀式にも使われた七草に、それにふさわしい呼び名を使ったのでしょう。
解説画像1

第3問

問題
シジュウカラは植物の種子を秋に貯めて、冬に食べ物が少なくなる時期に利用することが知られています。この行動を貯食といいますが、どのような植物の果実を利用しているのでしょうか?
  • 1コナラ
  • 2イイギリ
  • 3アキグミ
  • 4ツルウメモドキ
正解1コナラ
解説
鳥類の貯食行動はいくつかの種で知られています。マテバシイ、シラカシ、ミズナラなどのかたい果実(堅果)であるドングリを貯蔵する種としては、ヤマガラをはじめホシガラスやカケスなどがあげられます。
ドングリは風に運ばれるには重過ぎますし、そのまま食べてもらうために有利な果肉もついていません。種子の周りにはタンニンを含む渋皮があり、かたい殻(果皮)に包まれています。したがってじっくり割らなければ食べられない構造をしています。こうした果実の運搬には、ネズミやリスなどの小型哺乳類や鳥類が活躍しています。特に貯食習性のある動物は植物にとってたいへん役立つ存在です。地面に浅く埋めたり、樹皮の隙間に押し込んだりして貯蔵します。利用するために取り出す際は、かなり正確に一つずつ掘り出すことが知られています。貯蔵した鳥が死んだ場合など、埋められた種子は利用されず翌春に発芽できることになります。北海道ではミヤマカケスによってミズナラ林の分布が広がった例が報告されています。

第4問

問題
写真は、海岸の明るい林の中や崖地によく見られる、ある植物の実がなっているところです。若い葉柄を佃煮などに加工して食べることもあるこの植物を次の中から選んでください。
  • 1フキ
  • 2ノブキ
  • 3ツワブキ
  • 4トウゲブキ
問題画像1
正解3ツワブキ
解説
秋から冬、花の少ない時期に黄色くて目立つ花を総状に咲かせることや、厚くてつやのある常緑の葉が美しいことから、公園の下草や、住宅の和風の庭に使われることも多い植物です。短い地下茎があり、基部から株分かれしてふえますが、ノブキとちがって茎は立ち上がらず、フキのように地下茎を長く伸ばしてふえることはありません。トウゲブキは北日本の山に生え、夏に開花し、葉は常緑ではなく、表面の光沢もあまりありません。
解説画像1

第5問

問題
写真は北海道に自生する針葉樹の樹幹です。樹皮には、しばしは、地衣類が着生してできた灰白色のまだら模様がみられます。北海道では最も蓄積量(樹木の幹の体積)の多い樹種(2014年現在)で、昔から建築の主材料として用いられてきました。この樹木は次のうちのどれでしょうか。
  • 1エゾマツ
  • 2アカエゾマツ
  • 3トドマツ
  • 4イチイ
問題画像1
正解3トドマツ
解説
トドマツはマツ科モミ属の針葉樹です。アカエゾマツ、エゾマツはマツ科トウヒ属、イチイはイチイ科イチイ属に分類されます。トドマツの樹皮は平滑でなめらかですが、エゾマツやアカエゾマツは黒褐色〜赤褐色で鱗片状をしています。イチイは赤褐色で浅く縦に裂け目があります。トドマツとアカエゾマツ・エゾマツとは、球果が上を向く(モミ属)か、下を向く(トウヒ属)かで見分けることもできます。  アイヌの人たちはトドマツのことをフプといい、冬山の仮小屋をこの木の幹と葉で造り、フプチセ(トドマツ・小屋)と呼びました。支笏湖畔に風不死岳(フップシダケ)という山がありますが、この名前はトドマツが多く生えていたことによるものです。
解説画像1解説画像2

第6問

問題
花壇を飾るパンジーは、その植物の姿が人のあるしぐさに似ており、そのしぐさを表すフランス語からつけられた名前だといわれています。
そのしぐさとは何でしょうか?
  • 1笑っている
  • 2振り返っている
  • 3考えている
  • 4泣いている
問題画像1
正解3考えている
解説
パンジーは、ヨーロッパに自生しているビオラ・トリコロールをもとに改良された園芸品種で、このためかつては三色すみれの名前がありました。改良が進められる過程で、ビオラ・ルテア、ビオラ・コルヌタ、ビオラ・アルタイカ、ビオラ・カルカラータなどが複雑に交雑され、現在見られるような多彩で丈夫なパンジーがつくられてきたのです。
パンジーの花は、中央にある黒い色模様(ブロッチ)が何となく顔に似ていることから、かつては人面草とも呼ばれたそうですが、パンジーの語源はフランス語のPanser(パンセ)=考える、であるといわれています。花の咲いている様子とも、つぼみのときのややうつむいた姿とも説は分かれていますが、いずれにしても現在の豪華な園芸品種ではなく、もっと楚々とした野生種に近いものに対してつけられたものであることは確かです。

第7問

問題
秋、イチョウの葉が色づく頃、ギンナン(銀杏)が落ちていて、嫌な臭いがしていることがあります。このギンナンには外側に柔らかいにおいのもとになる部分があります。この部分は植物の部分としては次の内のどれでしょうか。番号で答えて下さい。
  • 1私たちがリンゴを食べている部分、花托(かたく)である
  • 2特別にイチョウに発達した萼(がく)の部分である
  • 3アカマツなどの鱗片といわれる部分と同じ部分である
  • 4種子の一部が発達したものである
正解4種子の一部が発達したものである
解説
イチョウは裸子植物ですので、被子植物のように子房の部分が発達した果皮はできません。イチョウのギンナンを包むあの柔らかい部分は、種衣(仮種皮)といわれる部分で、イチョウでは外珠皮が伸びてきたものです。

第8問

問題
水辺に植栽されたシダレヤナギには風情があり、芽ぐみの時期には春を、暑い時期には涼を感じる木の一つです。
しかし、ヤナギは、種類によって細長い葉、ハート形の葉、掌状の葉など様々あります。写真の植物は、宮澤賢治が好んだといわれるヤナギですが、次のうちどれでしょう。
  • 1ドロヤナギ
  • 2ネコヤナギ
  • 3ギンドロ
  • 4イヌコリヤナギ
問題画像1
正解3ギンドロ
解説
正解は、ギンドロです。
このヤナギはモロッコからヨーロッパ中南部、トルコ中央アジアの原産です。若い葉の裏面に銀白色の綿毛が多く、風に吹かれるととても美しく宮澤賢治が愛した樹木と言われています。
ドロヤナギは別名ドロノキともいい、30mにもなる高木です。川岸の肥沃地に生育し、葉は広楕円形、葉柄楽丸く上側に溝があるのが特徴です。
ネコヤナギは川べりなどで見られ、名前の通り銀色の花穂がふわふわで猫の毛並みを思わせるのでしょう。
イヌコリヤナギは行李を作る材料にしたコリヤナギに似ているけれど、行李の材料にならない=役に立たないという意味でイヌがついています。

第9問

問題
和紙の材料として使われるこの木は、3〜4月に黄色い花を咲かせます。次のうち、どれでしょう。
  • 1ミツマタ
  • 2ヤマブキ
  • 3レンギョウ
  • 4サンシュユ
問題画像1
正解1ミツマタ
解説
コウゾやミツマタは、樹皮の繊維が強いため、和紙の材料として使われています。ミツマタは、高級和紙の材料であると共に、明治12(1879)年から現在でも、日本のお札の材料として使われています。 ミツマタの枝は、どの枝を見ても分枝部分が「三又」になっていることから「ミツマタ」と呼ばれるようになりました。早春に蜂の巣のような黄色い花を咲かせると春が来たのを感じる人も多いのではないでしょうか。
解説画像1

第10問

問題
果実が成るまでの年数を「桃栗3年、柿8年、○○の大バカ18年」と言うことがあります。○○に当てはまる植物は何でしょう。
  • 1リンゴ
  • 2ギンナン
  • 3ユズ
  • 4グミ
正解3ユズ
解説
一般的にユズはタネから育てると、実が成るまでに15〜20年もかかるため、「ユズの大バカ18年」と言われています。接木であれば、もっと短く、3〜4年で収穫できることもあります。また、ハナユズと呼ばれる小ぶりの実が成る品種や、獅子柚子という大きな実がなる品種もあります。写真は、大きな実がなる獅子柚子です。 冬至にユズ湯に入る習慣は、ユズの香りで邪気を払うと共に、疲労回復や肩こりに効きます。
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第11問

問題
雄花と雌花が同じ株に咲き、外見上これらの区別のつく植物があります。
この植物は何でしょうか?
  • 1ベゴニア
  • 2チューリップ
  • 3バラ
  • 4アヤメ
問題画像1
正解1ベゴニア
解説
ベゴニアの仲間は、花がたくさんかたまってついていますが、その中に雄花と雌花があります。雄花は花の下に3枚の翼状の突起をもつ子房がついているので一目で雌雄の区別がつきます。また雌花の花びらは、2枚が大きな「萼」、3枚が「花弁」です。
雄花には子房がなく、4枚の花びらのうち大きな2枚は「萼」で、小さな2枚は「花弁」です。種類によっては花弁が退化してないものがあり、2枚の「萼」が花弁のように目立ちます。

第12問

問題
この植物は、ウコギ科の植物です。ウコギ科の仲間には、木本と草本があり、下記の植物は、全て樹木です。この中に、秋になると葉が色付き、散ってしまう落葉樹があります。それはどれでしょうか。
  • 1ヤツデ
  • 2カクレミノ
  • 3コシアブラ
  • 4キヅタ
正解3コシアブラ
解説
 コシアブラ(漉油)は、高さが15mほどにもなる落葉樹で、九州から北海道まで分布し、山地の雑木林などで見られる樹木です。 昔、この木から樹液を採集し、ウルシに似た塗料「金漆(ゴンゼツ)」に用いたことから、別名のゴンゼツと言ったほうが理解されやすい地方もあるようです。木の材質はやわらかく白い色で、これを薄く削いで三つ編みにした物で、夏にかぶる経木帽子や、正月に使う祝箸などに利用されていました。今ではそんな利用も少なくなっているようです。それに引き換え昨今は、春になると山菜としての人気が高くなってきました。若い芽を摘み、和え物・天ぷら、また山菜ピラフにと、いろいろ楽しむことができます。  また、この木の葉は掌状形といって、手のひらを広げたような形です。秋の黄葉は、白みがかった薄黄土色で、向こうが透けて見えるような感じです。

第13問

問題
この写真は、アヤメ科のサフランです。世界一高価なスパイスと言われ、パエリアやブイヤベースの香り付けに欠かせません。丈夫で日本でも花はよく咲きますが、実やタネを見かけることはありません。なぜでしょう?次の4つの選択肢の中から正しいものを選んでください。
  • 1球根で容易に増えるため、同じ個体からできたクローンが輸入さ れた。
  • 2サフランは3倍体であるために、タネができない。
  • 3サフランにやってくる特殊な虫が日本にはいない。
  • 4花の咲く時期に雨が多く、花粉が死んでしまうため。
正解2サフランは3倍体であるために、タネができない。
解説
サフランは学名を Crocus sativus クロクス・サティウス(栽培されたクロッカスの意)と言い、アヤメ科の球根植物です。10月末から11月にかけて、葉とほとんど同時にほっそりした蕾が出てきて、薄紫の花を咲かせます。黄色の雄しべと赤く長い雌しべが目立ちます。スパイスとして使用されるのは、赤い雌しべの方です。栽培の歴史は3,000年から5,000年前に、地中海のクレタ島で始まったと言われています。今では世界中で栽培されていますが、主な産地はイラン(全生産量の約94%)、インド北西部のカシミール地方、スペイン、ギリシャ、モロッコなどです。
サフランはCrocus cartwrightianus(クロクス・カートライティアヌス)(写真) という原種クロッカス(雌しべが赤く雄しべより長い)から生まれた3倍体と推測されています。原種もやはり独特の強い香りがありますが、小さな花なので収量は多くありません。3倍体は花も大きく雌しべも大変長いですが、タネができないので、球根を増やして栽培されます。それにしても、一つの花から3本の雌しべ(実際は1本の雌しべの先が3本に分かれている)しか採れないサフランが、いかに貴重なスパイスかわかりますね。
解説画像1

第14問

問題
種子植物の中で、種子をつくる過程で精子が形成される植物が数種あります。下の選択肢にあげた4種の植物の中に精子を形成する植物はどれでしょうか。
  • 1ナギ
  • 2ソテツ
  • 3カヤ
  • 4モミ
正解2ソテツ
解説
精子をもつ種子植物としては、1896年に平瀬作五郎により発見された裸子植物のイチョウがよく知られています。その発見の後すぐ、同じ裸子植物のソテツも、精子をもつことが発見されています。種子植物の種子形成では、めしべの柱頭についた花粉から花粉管が胚珠に形成される胚のうの卵細胞まで伸び、花粉管の中でできる精細胞が、卵細胞と受精する形式が普通です。しかし、イチョウやソテツでは、花粉管は卵細胞まで伸びず、花粉管の中では精細胞ではなく、運動性のある精子が造られます。精子は泳いで卵細胞に到達し受精します。ナギはマキ科ナギ属、ソテツはソテツ科ソテツ属、カヤはイチイ科カヤ属、モミはマツ科モミ属です。ナギ、カヤ、モミは、イチョウやソテツと同じ種子植物の中の裸子植物ですが、精子はつくりません。
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第15問

問題
植物のタネが動いて生活圏を広げることを散布といいます。タンポポはタネに綿毛を、カエデはタネに翼をつけて、風を利用してタネを散布します。種類によっては動物を利用するのもあります。 ケヤキのタネの散布方法はちょっと変わっています。それはどんな方法か、下記の中から選び番号で答えてください。
  • 1葉を翼の代わりにして風で散布する
  • 2タネが丸く、風で転がる
  • 3タネに餌をつけて、アリに運ばせる
  • 4タネの匂いで呼び、雑食獣に運ばせる
問題画像1
正解1葉を翼の代わりにして風で散布する
解説
ケヤキは枝先5〜10に数枚の小さな葉をつけ、その葉腋にタネ(植物学的には果実)を1つずつつけます。タネは秋に散布されますが、散布の仕方が変わっています。タネをつけた小枝の葉は枯れても落ちずに残り、小枝の基部に離層ができます。そして、小枝は枯れ葉を数枚つけたまま枝から離れ、葉を翼代わりにして風で散布します。散布する際、小枝は風に吹かれてくるくる回転しながら何メートルも飛んでいきます。まるで小枝のダンスとでもいえるさまです。晩秋木枯らしが吹いている折はぜひ寒さを我慢して、ケヤキの木の下に行ってみましょう。きっと小枝の踊りに感動することでしょう。
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第16問

問題
写真の植物は、仏教の三大聖(霊)樹のひとつの花です。その名前を下記の中から選び、番号で答えてください。
  • 1ムユウジュ
  • 2インドボダイジュ
  • 3サラノキ
  • 4パルミラヤシ
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正解1ムユウジュ
解説
写真の植物は、釈迦の生誕地にあったムユウジュ(無憂樹)です。その学名は、Saraca asocaでマメ科の常緑または落葉中木です。三大聖樹の中では最も美しい花をつけます。選択肢2番目のインドボダイジュは、学名をFicus religiosaと言い、釈迦が悟りを開いた所にあったとされるクワ科の常緑高木です。3番目のサラノキ(沙羅樹)は、釈迦が亡くなった地にあったフタバガキ科の常緑高木で、学名は、Shorea robustaです。以上の三つが仏教三大聖樹です。
最後のパルミラヤシ(オオギヤシ)は、学名をBorassus flabelliferと言い、ヤシ科の常緑高木です。葉は貝多羅葉と呼ばれ、古代には仏教経典の写経に紙代わりとして使われていました。
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第17問

問題
芝生に写真の植物が生えていました。この植物名を下記の中から選び番号で答えて下さい。
  • 1ハハコグサ
  • 2チチコグサ
  • 3チチコグサモドキ
  • 4ウラジロチチコグサ
問題画像1
正解2チチコグサ
解説
選択肢の植物はいずれもキク科ハハコグサ属の植物で、綿毛が多く白っぽく見えます。チチコグサとハハコグサは茎や枝先に頭花が密集します。チチコグサの総苞は紫褐色で、その下に3〜5の苞葉が付きます。この苞葉のためエーデルワイスに似た雰囲気になります。ハハコグサの総苞は鮮やかな黄色でその下に苞葉はありません。
 チチコグサモドキとウラジロチチコグサは帰化植物です。頭花は上部の枝先に穂状につきます。チチコグサモドキは花時に根出葉はなく、葉はヘラ型です。ウラジロチチコグサは花時に根出葉があり、葉表面は光沢のある濃緑色ですが葉裏は名前の通り白色です。ウラジロチチコグサは関東地方で最も繁殖している雑草といわれています。
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第18問

問題
四季の花の中で、他の花の先がけて咲くことから「花の兄」また、他の多くの花に遅れて咲くことから「花の弟」と、花の兄弟にたとえられるのは、どの組み合わせでしょうか。
  • 1桃(モモ).木犀(モクセイ)
  • 2梅(ウメ).菊(キク)
  • 3桜(サクラ).萩(ハギ)
  • 4椿(ツバキ).柊(ヒイラギ)
正解2梅(ウメ).菊(キク)
解説
「梅は花の兄、菊は花の弟」といわれるように、四季のはじめと終わりに咲く花を兄弟にたとえています。
「花の兄」のウメは、中国の原産で7世紀後半にわが国に渡来したと考えられ、『万葉集』ではハギに次いで2番目に多く詠まれています。「百花の魁(さきがけ)」で、寒中に馥都(ふくいく)とした香りを放って凛と咲く姿は「歳寒三友(松・竹・梅。または梅・竹・水仙)」や(四君子(梅・竹・菊・蘭)」のひとつにも数えらています。
一方「花の弟」にたとえられる園芸種のキクも中国の原産で『万葉集』には登場しないので、奈良時代末の渡来と推定されています。呪術的な力を持つと信じられ、平安貴族の心の拠り所として愛培され、江戸時代には庶民による「菊文化」が花開きました。高貴な香りを持つキクは、ウメとともに「四君子」のひとつに選ばれ、四季を華やかに締め括っています.

第19問

問題
モウソウチクはマダケとよく似ていますが、次の項目のうちモウソウチクの特徴はどれでしょうか。
  • 1葉はマダケよりも大きい
  • 2葉は冬に落ちる
  • 3節にある環は1つである
  • 4竹の皮はいつまでもついている
正解3節にある環は1つである
解説
マダケ属のモウソウチクとマダケは極めて有用竹のため多く栽培されています。
そのちがいはモウソウチクは太いこと、マダケは些細なことで一見して区別できるように思いがちですが、モウソウチクの貧弱型では分りにくいこともあります。しかし次の点で区別できます。
モウソウチクは稈の節に1本の環(隆起線)があること、マダケの節には2本の環があることです。またモウソウチクの皮には長毛があること、マダケの皮は無毛であることでも区別できます。
解説画像1

第20問

問題
写真は、海岸に植えられたクロマツの樹皮に残る傷跡です。この傷は何のために付けられたものでしょうか。その理由を選択肢の中から選び、番号で答えてください。
  • 1松明に使用する樹皮をとるため
  • 2害虫の松くい虫を防除するため
  • 3工業原料の松脂を採取するため
  • 4銘木として利用するため
問題画像1
正解3工業原料の松脂を採取するため
解説
正解は3です。
代表的な天然樹脂には、松脂、天然ゴムなどがあり、樹皮に傷をつけ沁みだした樹液を集めて利用されます。松脂は、水蒸気蒸留などでテレピン油とロジンに分けて工業原料とされます。松脂の主産地は、アメリカや中国ですが、かつては日本でも生産されていました。テレピン油は航空燃料ともなったことから、石油の輸入が止まった第二次大戦末期に、松の伐根(切り株)や松ヤニからの製造が試みられました。問題の写真は、隠岐の海岸の樹に残る松ヤニを採取した傷跡です。
他に重要な天然樹脂に天然ゴムがあります。工業原料として利用されているのは、ブラジル原産のパラゴムノキでタイ、インドネシアなどが主産地です。松脂と同じように幹に傷をつけ、沁みだしてきた樹液が集められています。