花みどりミニ検定第190回 (2025/09/01~2025/09/30)
前回の解答と解説
第1問
問題
ジャガイモは世界中で栽培され、多くの地域で重要な食糧です。原産地は南米ペルー・ボリビアあたりです。インカはスペインに滅ばされると、ジャガイモはヨーロッパに広くつたえられ、多くの地で栽培され、特に下層階級の需要な食糧になりました。しかし突然1846年から1847年ジャガイモの不作が起き、多くの人が餓死し、また多くの人が新大陸アメリカへ移住しました。ジャガイモの不作となった理由と考えられるものは次の文のどれでしょうか。
- 1ジャガイモの害虫の甲虫のある種で、ジャガイモに近いナス科の植物につくのもがヨーロッパにいてジャガイモの栽培面積の拡大に伴って爆発的に繁殖しジャガイモについたため。
- 2この間の気候が低く降水量も多かったため。
- 3ジャガイモには連作を嫌う性質があり、何年か作り続けたため連作障害を起こしたため。
- 4当時のジャガイモの品種には特別な遺伝子があり、継代栽培によって有害な性質が蓄積されたため。
正解2この間の気候が低く降水量も多かったため。
解説
ジャガイモは問題文のようにペルー・ボリビアの高地が原産地で、栽培されて主要な食糧でした。新大陸からヨーロッパに入ると広く栽培されるようになりました。特にオランダやドイツ、アイルランドなどの農民や労働者の主食となりました。しかし1845〜1847年、ヨーロッパは低温で長雨の気候でした。ジャガイモにつくジャガイモ疫病菌(PhytoPhtora infestans)が大発生し、ジャガイモの生産がほとんど望まないほどでした。ジャガイモで命をつないでいた貧農や労働者は餓死する人も多数でした。ジャガイモ疫病菌は卵菌類に属し、鞭毛を持った遊走子(胞子)で繁殖し雨の多い低温の状態を好みます。アイルランドからアメリカへ移住した人の多くいました。アメリカにはアイルランド系のコロニーがあり、この中の子孫からアメリカ大統領ケネディが生まれました。
第2問
問題
写真の植物は、本州、四国、九州の山地のやや湿った林下でみられる多年草です。花期は、3月〜4月です。この植物は、ヒメギフチョウの食草として知られています。この植物の名前はなんでしょうか。選択肢の中から正しいものを一つ選び番号で答えてください。
- 1カンアオイ
- 2ウマノスズクサ
- 3ミヤマハタザオ
- 4ウスバサイシン

正解4ウスバサイシン
解説
写真の植物は、ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)です。本州、四国、九州の比較的高い山の林の切れ目などの湿った場所に、群生しているのを見かけます。和名は薄葉細辛で、根を漢方で細辛といい、鎮痛、鎮咳、去痰に用います。花期は3〜5月です。ヒメギフチョウの食草として知られています。カンアオイ(ウマノスズクサ科)はギフチョウの食草です。ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)やオオバウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)はジャコウアゲハの食草です。ミヤマハタザオ(アブラナ科)はクモマツマキチョウの食草です。

第3問
問題
次の植物は、秋にオレンジ色を咲かせます。その花をお酒につけこんで香りを楽しんだりします。その植物は次のうちどれでしょう。
- 1サクラ
- 2フジ
- 3サザンカ
- 4キンモクセイ

正解4キンモクセイ
解説
居酒屋や中華料理店でときどき見かける桂花陳酒は、キンモクセイの花を白ワインにつけた中国のお酒です。桂花がキンモクセイの花の意味で、中国語で桂は日本の「カツラ」ではなく、「モクセイ」を指します。キンモクセイの香り成分は、花弁で生成され、開花時に一番多く香り成分を生成、つまり開花時に一番強く香ります。キンモクセイの開花はサクラとは反対に、まず、東北地方や関東地方で開花し、だんだんと九州地位方へ進んでいきます。

第4問
問題
ヒガンバナには変った性質があり、葉と花が互いを見るようなことはありません。そのため「葉見ず花見ず」の名もあります。
ヒガンバナの葉はどんな性質を持っているのでしょうか?
ヒガンバナの葉はどんな性質を持っているのでしょうか?
- 1葉は4月頃伸びて、6月頃に枯れる
- 2葉は短くて地上から見えることはない
- 3葉は花が終った後に伸び、冬の前に枯れる
- 4葉は花が終った後に伸び、冬を越して春に枯れる

正解4葉は花が終った後に伸び、冬を越して春に枯れる
解説
ヒガンバナはヒガンバナ科の多年草です。彼岸の頃になると約束したように花を開きます。地面から割りばしよりも少し太い花茎だけが伸びて、その先に赤い花をいくつも横向きにつけます。葉は、花が終った後、地上に伸びてきます。やや多肉質で細長く、先は少しとがっています。たくさんの濃い緑色の葉が伸びた状態で冬を越します。そして、春、桜が咲き出す頃になると黄色に変色し、やがて枯れてしまいます。
ヒガンバナの花には種子ができません。球根(鱗茎)が分かれてふえ、密集した大きな群落を作ります。この球根を太らせるため、葉は、他の多くの植物の葉が枯れている秋から冬の間に太陽の光を受けて光合成を盛んに行います。
ヒガンバナの花には種子ができません。球根(鱗茎)が分かれてふえ、密集した大きな群落を作ります。この球根を太らせるため、葉は、他の多くの植物の葉が枯れている秋から冬の間に太陽の光を受けて光合成を盛んに行います。
第5問
問題
メキシコ原産のキバナコスモスは、花色が黄色、橙黄色でしたが、日本人が改良した朱赤色の園芸品種が全米花卉審査会で1964年に金賞を獲得しました。
その品種名は何でしょうか?
その品種名は何でしょうか?
- 1ディアボロ
- 2サンライズ
- 3サンセット
- 4オレンジ・ルフレス
正解3サンセット
解説
このキバナコスモス「サンセット」は、従来黄花と橙黄花しかなかった品種に、朱赤〜朱橙花を発現させた画期的な園芸品種でした。金賞受賞は1964年、市販発表は1966年でした。作出者は盛岡在住の橋本昌幸さんです。
「サンセット」はキバナコスモスの園芸品種「オレンジ・ルフレス」の選抜株に「フィエスタ」を交配し、その子孫を選抜しつづけたものといわれています。草丈1mほど、株まわり1.2mほどの大型の春播き一年草で、花は鮮やかな朱赤色、半八重咲きで、舌状弁は幅が広く丸みをもっています。花径は5cm内外です。
「サンセット」はキバナコスモスの園芸品種「オレンジ・ルフレス」の選抜株に「フィエスタ」を交配し、その子孫を選抜しつづけたものといわれています。草丈1mほど、株まわり1.2mほどの大型の春播き一年草で、花は鮮やかな朱赤色、半八重咲きで、舌状弁は幅が広く丸みをもっています。花径は5cm内外です。
第6問
問題
写真は、家の近くの小さな崖のいつも湿っている日陰の場所で見つけたものです。大きさは1cmほどです。これは、下の4つの選択肢の生物の中の1つの、生活史の中に現れるものです。生活史の中に、このようなものが現れる種類が含まれるのは、4つの選択肢の中のどれでしょうか。1つ選び、番号で答えてください。
- 1コケ植物のスギゴケの仲間
- 2シダ植物の仲間
- 3地衣類の一種
- 4キノコやカビのような菌類の一種

正解2シダ植物の仲間
解説
写真は、シダ植物の前葉体です。日頃、私たちが見ているシダは、胞子体で、胞子をつくります。胞子がシダの生活に適した地面に落ちると発芽して前葉体になります。前葉体は卵細胞や精子のような配偶子と呼ばれる生殖細胞をつくる配偶体で、種子植物の花粉や花粉管の伸長中の花粉、及び雌しべの中にある胚嚢に相当します。前葉体がつくった、卵細胞と精子が受精してできる受精卵が成長すると、日頃私たちが目にする胞子をつくる胞子体のシダになります。
コケ植物は、シダ植物と違って生活の主体となるのが卵細胞や精子をつくる配偶体の方です。スギゴケの胞子体は配偶体の上で成長し胞子をつくります。ウメノキゴケなどの地衣類は菌類と藻類の共生体です。
コケ植物は、シダ植物と違って生活の主体となるのが卵細胞や精子をつくる配偶体の方です。スギゴケの胞子体は配偶体の上で成長し胞子をつくります。ウメノキゴケなどの地衣類は菌類と藻類の共生体です。

第7問
問題
下記の4種類の植物は、常緑樹で庭園樹として公園などにも植えられていることもあります。この樹木の中にウコギ科の樹木がありますが、何番の木でしょうか?
- 1モッコク
- 2ヒイラギ
- 3クロガネモチ
- 4カクレミノ
正解4カクレミノ
解説
カクレミノ(隠れ蓑)は常緑の小高木です。
関東南部以西の本州から南西諸国の照葉樹林帯に育成し、樹高は5〜10メートルになり、葉は卵形で先がとがり、三本の主脈が目立つのが特徴で、若木の葉は成木と違って、3〜5か所、深く切れこみが出来ます。和名の由来は、昔話や民謡に出てくる天狗の持ち物の宝物で、打出の小槌、如意宝珠などと共に、身に付けると姿が見えなくなる隠れ蓑など、これを絵巻にしたものが「宝づくし」で子供の晴着などになり、この中の隠れ蓑が、この葉の形と良く似ていたのでこの名となりました。また、伊豆の島では供物をこの葉に載せる風習が有り、カクレミノの樹液を黄漆と言い、古い時代にこれを塗料に用いたとのことです。人によっては、ウコギ科のコシアブラから採った金漆は、このカクレミノの黄漆ではないかとも言われています。
関東南部以西の本州から南西諸国の照葉樹林帯に育成し、樹高は5〜10メートルになり、葉は卵形で先がとがり、三本の主脈が目立つのが特徴で、若木の葉は成木と違って、3〜5か所、深く切れこみが出来ます。和名の由来は、昔話や民謡に出てくる天狗の持ち物の宝物で、打出の小槌、如意宝珠などと共に、身に付けると姿が見えなくなる隠れ蓑など、これを絵巻にしたものが「宝づくし」で子供の晴着などになり、この中の隠れ蓑が、この葉の形と良く似ていたのでこの名となりました。また、伊豆の島では供物をこの葉に載せる風習が有り、カクレミノの樹液を黄漆と言い、古い時代にこれを塗料に用いたとのことです。人によっては、ウコギ科のコシアブラから採った金漆は、このカクレミノの黄漆ではないかとも言われています。
第8問
問題
『万葉集』には160種あまりの植物が詠まれていますが、その中でも最も多く詠まれている植物は何でしょうか?
- 1ハギ
- 2カワラナデシコ
- 3アサガオ
- 4オミナエシ
正解1ハギ
解説
ハギは古来、和歌や俳句に多く詠まれてきた秋を代表するマメ科の植物です。花を観賞するだけでなく、葉を家畜の飼料や茶の代用として用い、根は薬用に、樹皮は縄に、実は食用にと、日常生活になじみ深いものでした。
ハギを詠んだ歌は『万葉集』に141首あり、2位のウメの122首を大きく上回っています。
山上憶良の秋の七草(種)の歌は、巻八、秋の雑歌の中に下記のように詠まれています。
「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」(1537)
「萩の花尾花葛花瞿麥の花女郎花また藤袴朝顔の花」(1538)
ハギを詠んだ歌は『万葉集』に141首あり、2位のウメの122首を大きく上回っています。
山上憶良の秋の七草(種)の歌は、巻八、秋の雑歌の中に下記のように詠まれています。
「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」(1537)
「萩の花尾花葛花瞿麥の花女郎花また藤袴朝顔の花」(1538)
第9問
問題
中国・日本画の画法の中に、山水画様式で南宗画、あるい南画といわれる技法が有ります。文人画家が好んで描いたと言われる題材に、四君子と言われるものが有りますが、これはある植物四種を君子(徳が高く、品の有る人)に見立てたものです。
この四種の組合せの正しいのはどれでしょうか。番号でお答えください。
この四種の組合せの正しいのはどれでしょうか。番号でお答えください。
- 1タケ・ウメ・キク・ラン
- 2タケ・ウメ・ザクロ・マツ
- 3ボタン・スイセン・ユリ・ヤナギ
- 4ヤナギ・モモ・シャクヤク・ナンテン
正解1タケ・ウメ・キク・ラン
解説
四君子は、タケ、ウメ、キク、ランの四種の組合せの植物です。
中国では、タケは四季を通じ青々と茂り真っすぐに節目正しく生長することから俗気の無い君子の植物とされました。
ウメは、冬の寒さの中で、あたたかみの有る白い花びらと、気品のある香りをただよわせるウメは、万民が心を寄せる君子でしょう。
また、キクは古くから薬として利用され、日本への薬用としてもたらされたようです。中国では古くから、キクの花と葉と米をかもして作った菊酒は、不老長寿の霊酒とされ、重陽の節会には酒に菊花を浮かべて祝いました。また、霜の降りる寒い時期にもかかわらず凛として咲く菊は、君子と見るべきでしょう。
古来、ランは高雅な香と美しい姿により君子の花とされ国香として貴ばれました。以上を高潔な君子にたとえ、中国の文人達の余技として描かれ親しまれました。
中国では、タケは四季を通じ青々と茂り真っすぐに節目正しく生長することから俗気の無い君子の植物とされました。
ウメは、冬の寒さの中で、あたたかみの有る白い花びらと、気品のある香りをただよわせるウメは、万民が心を寄せる君子でしょう。
また、キクは古くから薬として利用され、日本への薬用としてもたらされたようです。中国では古くから、キクの花と葉と米をかもして作った菊酒は、不老長寿の霊酒とされ、重陽の節会には酒に菊花を浮かべて祝いました。また、霜の降りる寒い時期にもかかわらず凛として咲く菊は、君子と見るべきでしょう。
古来、ランは高雅な香と美しい姿により君子の花とされ国香として貴ばれました。以上を高潔な君子にたとえ、中国の文人達の余技として描かれ親しまれました。
第10問
問題
料理店、特にウナギを焼く店や、焼肉店で使われる炭に、備長炭と言われる炭が有ります。紀伊半島が主産地で江戸時代の昔から作られています。
この炭は火もちが良く火力も強いため、とても重宝されています。また、この炭はブナ科の木を焼いて作りますが、その木の名前は何でしょうか?
この炭は火もちが良く火力も強いため、とても重宝されています。また、この炭はブナ科の木を焼いて作りますが、その木の名前は何でしょうか?
- 1クヌギ
- 2アラカイ
- 3スダジイ
- 4ウバメガシ
正解4ウバメガシ
解説
ウバメガシは、ブナ科コナラ属の常緑樹です。神奈川県以西の暖地の海岸近くに育ち、特に紀伊半島と瀬戸内海の海岸には多くみることが出来ます。生長が遅く、樹高はブナ科の仲間では一番ちいさく10cmぐらいにしかならず、そのかわり材は非常にかたく、そのため木炭の材料としては大変優れています。
備長炭の由来は、元禄年間(1688〜1704)に紀州(今の和歌山県)の備後屋長右衛門が発明した白炭で、一般の黒炭よりも火力、火もちがとても良く、今でも料理店などで使用されています。
この他にも、庭木や生垣、和舟の艪材などにもなります。
備長炭の由来は、元禄年間(1688〜1704)に紀州(今の和歌山県)の備後屋長右衛門が発明した白炭で、一般の黒炭よりも火力、火もちがとても良く、今でも料理店などで使用されています。
この他にも、庭木や生垣、和舟の艪材などにもなります。
第11問
問題
カズラは、ツル性植物の総称ですが、ツル植物には木の仲間、草の仲間、シダの仲間が有ります。シダ植物のカズラは、どれでしょうか?
- 1カギカズラ
- 2ヒカゲノカズラ
- 3ヘクソカズラ
- 4サネカズラ
正解2ヒカゲノカズラ
解説
ヒカゲノカズラ(日陰蔓)は、シダ類ヒカゲノカズラ科の常緑のシダで、日本では北海道から九州で見ることが出来ます。和名は、日陰に生えるツル草の意味ですが、実際は、明るく陽当たりの良い山麓の法面や、草地などに生育します。茎は針金状で二又に枝分かれし、ところどころから白い根を出します。葉は鱗状で、蜜にらせん状につき地上をはい、初夏の頃、茎から直立した枝先に胞子ノウを付け、熟すと黄色い胞子が出ます。
古代から神事に使われためでたい植物で「古事記」の天の岩屋戸の神話を始め、宮中行事の大嘗祭などの神事に使用され、また正月の床飾りなども使われます。また、胞子は石松子(セキショウシ)と呼ばれ、油にも水分にもなじまないため、製薬会社では錠剤や丸薬を作る時、この胞子の中に入れ、薬同士が付かないようにするのに利用されます。(特に糖衣錠に使用)
古代から神事に使われためでたい植物で「古事記」の天の岩屋戸の神話を始め、宮中行事の大嘗祭などの神事に使用され、また正月の床飾りなども使われます。また、胞子は石松子(セキショウシ)と呼ばれ、油にも水分にもなじまないため、製薬会社では錠剤や丸薬を作る時、この胞子の中に入れ、薬同士が付かないようにするのに利用されます。(特に糖衣錠に使用)
第12問
問題
『枕草子』の中にある植物について記述があります。
「いみじうふさやかにつやめきたる、いと青う清げなるに、おもひかけず 似るべきもあらぬ茎はいとあかく きらきらしく見えたるこそ、あやしけれどをかし」
濃緑色の葉と紅色の葉柄との対比が美しいとしているこの植物は何でしょうか。
「いみじうふさやかにつやめきたる、いと青う清げなるに、おもひかけず 似るべきもあらぬ茎はいとあかく きらきらしく見えたるこそ、あやしけれどをかし」
濃緑色の葉と紅色の葉柄との対比が美しいとしているこの植物は何でしょうか。
- 1ナンテン
- 2ツバキ
- 3ユズリハ
- 4サンゴミズキ
正解3ユズリハ
解説
『枕草子』にはさまざまな木が登場します。
その中で「ユズハリ」のことを、「非常にふさふさとして艶っぽくとても青く美しい葉に思いがけなくて似ても似つかない茎が赤くきらきらしてみえるのは、不思議な気持ちがするが興味深い。」と書いています。
新葉の生長後に旧葉が落ちるので譲葉と命名されたそうです。
その様子から世代交代が順調に行くという意味が付加され、縁起物として正月飾りにも使われるようになりました。
その中で「ユズハリ」のことを、「非常にふさふさとして艶っぽくとても青く美しい葉に思いがけなくて似ても似つかない茎が赤くきらきらしてみえるのは、不思議な気持ちがするが興味深い。」と書いています。
新葉の生長後に旧葉が落ちるので譲葉と命名されたそうです。
その様子から世代交代が順調に行くという意味が付加され、縁起物として正月飾りにも使われるようになりました。
第13問
問題
万葉集に次のような歌があります。
『ほととぎす鳴く羽振きにも散りぬべみ袖にこきれつ(A)波の花』
ほととぎすの羽振りにも散ってしまいそうだから、その前に折り取って袖の中に入れたいという意味です。
(A)に入る植物は何でしょうか。
『ほととぎす鳴く羽振きにも散りぬべみ袖にこきれつ(A)波の花』
ほととぎすの羽振りにも散ってしまいそうだから、その前に折り取って袖の中に入れたいという意味です。
(A)に入る植物は何でしょうか。
- 1萩
- 2葛
- 3桐
- 4藤
正解4藤
解説
万葉集には、フジを詠んだ歌が27首載っています。そのうち18首までが「藤波」と表現されています。フジの花房が風になびいている様子を波に見立てたのです。
花を身につけるのは、花の霊力を身に付けるためだと考えられていました。『枕草子』にも、賀茂の臨終の祭に「(勅使が)藤の花にかくれたるほどはをかし」と書かれています。
臨終の祭は11月に行なわれたので、造花の藤飾りを顔がかくれるほど付いていたのでしょう。問題文の歌は、巻18 4193のものです。
花を身につけるのは、花の霊力を身に付けるためだと考えられていました。『枕草子』にも、賀茂の臨終の祭に「(勅使が)藤の花にかくれたるほどはをかし」と書かれています。
臨終の祭は11月に行なわれたので、造花の藤飾りを顔がかくれるほど付いていたのでしょう。問題文の歌は、巻18 4193のものです。
第14問
問題
万葉集に次のような歌があります。
『紅はうつろふものぞ、橡の馴れにし衣になほしかめやも』
色があせやす紅よりも、なれ親しんだ地味なつるはみ色の衣の方がいいよ、という意味です。「つるはみ」とは何の植物でしょうか。
『紅はうつろふものぞ、橡の馴れにし衣になほしかめやも』
色があせやす紅よりも、なれ親しんだ地味なつるはみ色の衣の方がいいよ、という意味です。「つるはみ」とは何の植物でしょうか。
- 1クヌギ
- 2トチ
- 3アイ
- 4コブナグサ
正解1クヌギ
解説
「橡」とはクヌギのことで、上代ではツルハミ、後にツルバミと呼ばれました。クヌギはドングリのタンニンからつくられた染料もツルハミと呼ばれました。媒洗剤に鉄を使えば黒に近い茶色に染まります。ツルハミは地味で映えない色だが、色あせしにくかったらしく、また汚れも目立たないので一般庶民にはなじみのものだったのでしょう。
クヌギはブナ科の植物で、サクラの咲くころに、長さ10cmほどの尾状花序を垂らします。春に開花した雌花は2年目の秋に熟します。
尚、歌中にある「紅」はキク科ベニハナで染めた衣のことです。問題文の歌は、第18巻4109のものです。
クヌギはブナ科の植物で、サクラの咲くころに、長さ10cmほどの尾状花序を垂らします。春に開花した雌花は2年目の秋に熟します。
尚、歌中にある「紅」はキク科ベニハナで染めた衣のことです。問題文の歌は、第18巻4109のものです。
第15問
問題
写真のチョウは「アカボシゴマダラ」と言って、もとは温暖な地域に住むチョウでしたが、最近は関東地方でもよく見られるようになりました。写真では赤い点が見えませんが、なくてもアカボシゴマダラだそうです。
今ちょうど卵を産み付けているところです。この樹木は何でしょう。一緒に青い実が見えますが、これはこの後黒く熟して甘くなります。
今ちょうど卵を産み付けているところです。この樹木は何でしょう。一緒に青い実が見えますが、これはこの後黒く熟して甘くなります。
- 1クスノキ
- 2ケヤキ
- 3アオハダ
- 4エノキ

正解4エノキ
解説
エノキを食草とするチョウでは有名なのがオオムラサキでしょう。また、在来種のゴマダラチョウも同じくエノキを食べています。ゴマダラチョウの方はもう少し黒い部分が多いように見えます。
エノキと似ているのはムクノキで、ケヤキなどと同じニレ科の植物ですが鋸歯が葉の上の方にあることや葉脈が葉の葉時まで届かないことなどから区別できます。
クスノキを食べるのはアオスジアゲハです。クスノキは常緑で葉の質も厚くなっています。
エノキと似ているのはムクノキで、ケヤキなどと同じニレ科の植物ですが鋸歯が葉の上の方にあることや葉脈が葉の葉時まで届かないことなどから区別できます。
クスノキを食べるのはアオスジアゲハです。クスノキは常緑で葉の質も厚くなっています。
第16問
問題
次の写真の植物和名は何でしょう。
- 1オヘビイチゴ
- 2キジムシロ
- 3ヒメヘビイチゴ
- 4オキジムシロ

正解1オヘビイチゴ
解説
名前はヘビイチゴですが、キジムシロと同属です。雰囲気は似ています。
・ ヘビイチゴと違って葉は五枚に分かれること、実が赤くならないことなどで区別できます。
・ キジムシロは葉が羽状複葉なので選択肢からは外れますが、これも似た仲間が多く、即答は難しいかもしれません。
・ ヒメヘビイチゴはその名の通りヘビイチゴを小ぶりにした感じで三枚の複葉です。
・ オキジムシロは帰化植物で、花弁ががく片より小さいことや葉の形で区別できます。最近は「コバナキジムシロ」という新参者も見かけるようになりました。花弁が小さくて特徴的です。
・ ヘビイチゴと違って葉は五枚に分かれること、実が赤くならないことなどで区別できます。
・ キジムシロは葉が羽状複葉なので選択肢からは外れますが、これも似た仲間が多く、即答は難しいかもしれません。
・ ヒメヘビイチゴはその名の通りヘビイチゴを小ぶりにした感じで三枚の複葉です。
・ オキジムシロは帰化植物で、花弁ががく片より小さいことや葉の形で区別できます。最近は「コバナキジムシロ」という新参者も見かけるようになりました。花弁が小さくて特徴的です。

第17問
問題
ニレ科の落葉高木であるムクノキの葉の表面を爪でこすると、写真のように白っぽくなります。
この理由は次のどれでしょうか?
この理由は次のどれでしょうか?
- 1表皮細胞から乳液が出た
- 2爪が削られて白い粉になった
- 3表皮の立毛が折れて倒れた
- 4表皮細胞がめくれて反転した

正解2爪が削られて白い粉になった
解説
ムクノキの葉は表裏とも、触るとざらつきます。それは、表皮に短い剛毛が生えているからです。この剛毛は非常に硬く、爪を磨くこともできます。写真の白っぽくなっているのは、爪が研磨されて粉末になったからです。剛毛による凹凸はサンドペーパーより微細で、木地製品の研磨の際の仕上げに使われます。他にも鼈甲の研磨にも使われるようです。
ムクノキの葉は落葉し枯葉になってもボロボロと破れることもないので、落ち葉を保存したものも同じ効果があります。
ムクノキの葉は落葉し枯葉になってもボロボロと破れることもないので、落ち葉を保存したものも同じ効果があります。
第18問
問題
河原や土手に生え、古来、秋の七草の一つとして人々に親しまれている植物ですが、今では絶滅が心配されるまでに減少しています。
この植物は何でしょうか?
この植物は何でしょうか?
- 1ヒヨドリバナ
- 2キキョウ
- 3フジバカマ
- 4オミナエシ

正解3フジバカマ
解説
秋の七草の一つに数えられているフジバカマは、キク科の多年草で、名の由来には諸説があり、花色がフジの花に似ているとともに、花弁の形が袴のようなので、フジバカマという和名がついたともいわれています。昔の人々はフジバカマを干して防虫剤、芳香剤、洗髪剤、お茶などとして暮らしの中で利用したそうです。
フジバカマは、湿った河畔林などに生えますが、このような環境が失われつつある今ではすっかり減少してしまい、準絶滅危惧種(NT)として環境省の「レッドリスト」(2007年版)に掲載されています。ただし、栽培下ではよくふえ、山草として売られています。
フジバカマは、湿った河畔林などに生えますが、このような環境が失われつつある今ではすっかり減少してしまい、準絶滅危惧種(NT)として環境省の「レッドリスト」(2007年版)に掲載されています。ただし、栽培下ではよくふえ、山草として売られています。
第19問
問題
カキの実は果肉が固いときは種がきれいに取れますが、熟してくると種のまわりがゼリー状のもので包まれ、うまく取り出すことができません。
この種を包んでいるものは何でしょうか
この種を包んでいるものは何でしょうか
- 1仮種皮
- 2外果皮
- 3中果皮
- 4内果皮
正解4内果皮
解説
カキの花は四数性で、実の中には8個の大きな種が入っています。
食べるときは、ふつう外側の皮、いわゆる外果皮を剥きます。
食べる部分は、中果皮と内果皮で、果肉がまだ固いとき、内果皮は中果皮とくっついているので、種は簡単に取れます。ところが熟してくると、内果皮はぬるっとしたゼリー状になって種を包むので、うまく取り出すことができません。赤く熟した実は、鳥や動物の大好物で、彼らに食べられて種が散布されますが、このとき大切な種を噛み砕かれては元も子もありません。種をゼリー状の内果皮に包むことによって、種はつるりと咥え喉を通り過ぎ、内果皮だけが消化され、無傷で糞とともに排出されます。こうして種は広い範囲に運ばれ、子孫を残すことができるのです。
食べるときは、ふつう外側の皮、いわゆる外果皮を剥きます。
食べる部分は、中果皮と内果皮で、果肉がまだ固いとき、内果皮は中果皮とくっついているので、種は簡単に取れます。ところが熟してくると、内果皮はぬるっとしたゼリー状になって種を包むので、うまく取り出すことができません。赤く熟した実は、鳥や動物の大好物で、彼らに食べられて種が散布されますが、このとき大切な種を噛み砕かれては元も子もありません。種をゼリー状の内果皮に包むことによって、種はつるりと咥え喉を通り過ぎ、内果皮だけが消化され、無傷で糞とともに排出されます。こうして種は広い範囲に運ばれ、子孫を残すことができるのです。
第20問
問題
写真の植物は、かつては民家の草葺き屋根の棟に植えられ、大風や火災から家を守ってきました。その風習を見た外国の植物学者が「屋根のアヤメ」という意味の学名をつけました。何という植物でしょうか。
- 1カキツバタ
- 2ハナショウブ
- 3シャガ
- 4イチハツ

正解4イチハツ
解説
草葺き屋根の棟に植物を植え、根を張らせて棟の固めとする手法を「芝棟」といいます。かつては関東から東北地方に広く見られましたが、住宅環境の変化とともに激減の一途をたどっています。棟に植えられた植物は、イチハツ、アヤメ、ヤマユリ、オニユリ、ノカンゾウ、ツメレンゲ、イワヒバなど多種多様、日射や乾燥に強い植物で、その代表がアヤメ科のイチハツです。貝原益軒は『大和本草』の中で、「民家芽屋の棟にイチハツを植えて大風を防ぎとす、風いらかを破らず」と記しています。幕末に日本を訪れたロシアの植物学者マキシモビッチは、この珍しい風習を見て「イリス・テクトルム(iris tectorum maxim)」という学名をつけました。種小名は「屋根の」の意味で英名も「Roof Iris(屋根のアヤメ)です。屋根の花園として季節を彩ってきた風習もほとんど見られなくなり、近ごろはニオイイリス(Iris florentina)をイチハツと誤って呼ぶ人が多く、残念です。